併合11級の後遺障害を認定も労働能力喪失率を16%と認定

12級7号右股関節機能障害と13級8号右下肢短縮の併合11級を認定しつつ(行政通達によれば労働能力喪失率20%)、後遺障害逸失利益の額を認定するにあたって、後遺障害等級及び労災保険に関する行政通達が定める労働能力喪失率は、「考慮すべき一資料」とはしたものの、拘束力を認めず、、被害者と加害者の間における示談の交渉経過も同様としました。そして、原告の業務が肉体労働を中心とするものはなく、右股関節の可動域制限や右下肢短縮が、原告の業務の円滑な遂行を顕著に阻害するものとは言い難いとして、労働能力喪失率を16%と認定しました(名古屋地裁平成25年7月18日判決・自動車保険ジャーナル63頁)。

<弁護士のコメント>

後遺障害の内容及び被害者の業務の実態から後遺障害逸失利益の労働能力喪失率の有無・程度を判断した裁判例です。足が短くなったことがどのような労働能力喪失をもたらすかを判断しています。訴訟においては、被害者から自賠責の労働能力喪失率が主張されることが多いですが、それは1つの目安に過ぎないことを確認しています。

<争点>

・後遺障害逸失利益

・自賠責の労働能力喪失率

・保険会社と被害者の示談交渉経過