後遺障害について
後遺障害とは
交通事故に遭った際、傷害の治療が終わったにも関わらず、体に障害が残ることを「後遺症」といいます。
そのなかでも「後遺障害」とは、「後遺症」の一部ではありますが、特に「労働能力の損失(低下)」を伴うもので、自賠責制度によって後遺障害として等級認定されたものを指します。「後遺障害」はその内容や程度によって等級づけされており、損害賠償の内容はその等級を目安に検討されます。
後遺障害の認定要件
後遺障害の種類
高次脳機能障害
頭部外傷によって意識障害を負った被害者が、治療の結果意識を回復したが、意識回復後に認知障害と人格変性を生じ、社会復帰が困難となる後遺障害をいいます。
高次脳機能障害の判断にあたっては、①事故によって頭部に外傷を生じたこと、②受傷後の意識障害、③意識回復後の認知障害及び人格変性、④第3脳室の拡大や脳の全体的な委縮がMRIで認められることが基本的な要素になります。
<高次脳機能障害の内容>
遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)
いわゆる「植物状態」のことをいい、後遺症外のなかでも特に重篤な症状といえます。
被害者の方だけではなく、介護をするご家族にとっても大きな負担を伴います。将来にわたって介護を続けていく上で必要な損害の立証がポイントになります。
上肢機能障害
肩関節、肘関節、手関節(手首)と手指を含めた部分を「上肢」とし、それらの欠損障害、機能障害及び変形障害について、症状の程度に応じた等級が定められています。
下肢機能障害
股関節、膝関節、足関節(足関節)と足指を含めた部分を「下肢」とし、それらの欠損障害、機能障害、変形障害及び短縮障害について、症状の程度に応じた等級が定められています。
疼痛性感覚異常
傷害を受けて際に治療が終わったにも関わらず、腫れがひかなかったり、激しい灼熱感や疼痛が残ったり、皮膚の変化(色や乾燥など)がある場合に認められる障害です。
<概念の整理>
CRPS:複合性局所疼痛症候群。従来のRSDと従来のカウザルギーを包含する概念。
従来のRSD:神経損傷を必ずしも伴わないタイプ。
従来のカウザルギー:神経損傷が推定できる疼痛。
脊髄損傷
脊椎の中にある脊髄(神経の束)が、全部または一部損傷したことにより、損傷された脊髄神経の髄節支配領域下にある体の部位(両上肢又は両下肢)に麻痺が残った後遺障害をいいます。「脊髄」とは、小脳から頸椎、胸椎、腰椎といった脊柱管を通る中枢神経のことをいい、脳からの指令を手足まで送る重要な役割を担っています。この脊髄が損傷することにより、重度であれば全身麻痺状態で、体温調節や代謝機能、感覚機能まで停止してしまうケースもあります。
外貌醜状
顔や頭、首、手足など人目につく部分に傷跡(醜状痕)が残るようなケースが該当します。肉体的な苦痛はもちろん、精神的な苦痛が大きくなる場合が多く、また職業によっては事実上の就労制限を受ける場合もあります。したがって、被害者の職業、年齢、性別問うも考慮した上で、被害者の外貌醜状がその労働に与える影響を考慮して労働能力喪失率を決することになる。
目、耳、鼻、口の後遺障害
眼(眼球及びまぶた)、耳(内耳等及び耳介)、鼻、口に傷害を受けた場合は、視覚や聴覚、嗅覚や味覚といった機能の低下という後遺傷害が残る場合があります。
精神の後遺障害(うつ病、PTSDなど)
交通事故に遭った恐怖体験から、精神が不安定になるPTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こしたり、むち打ち症など後遺症の苦痛からうつ病になるなど、精神的な障害が残ることをいいます。
後遺障害の等級について
「後遺障害」は、自動車損害賠償保障法施行令別表第1及び第2に従い、内容や程度によって等級分けされます。それに応じて賠償金額が決定されるので、等級認定はとても重要なポイントといえます。
等級のレベル
後遺障害の等級は、一番高度な後遺障害である「1級」から、軽い程度となる「14級」までに分けられます。これらの等級は、障害によってどれだけ労働能力が喪失(低下)したかによって判断されます。
後遺障害によってどれだけ将来の労働能力が喪失するかを想定して、算出されるものを「労働能力損失率」といいます。
当事務所の後遺障害サポートについて
後遺障害については、「等級」によって大きく賠償金額が変わってくるので、適正な等級認定がなされることがとても重要となります。
交通事故案件に関して多くの解決実績を持ち、専門的な医学知識や等級認定に関する情報にも通じている当事務所では、「後遺障害」についても全力でサポートいたします。
適正な等級で認定されるために
被害者の場合、等級認定を申請する際には、医師による後遺障害診断書などの資料が必要となります。これらの資料に不備・不足がないかチェックするとともに、作成についてアドバイスを行います。特に後遺障害診断書の作成については、作成する医師によって記載方法に関して個人差が大きく、記載の不備が起こるもあるので、後遺障害に精通した弁護士によるチェックが重要です。
等級による「遺失利益」も適正な判断を
後遺障害の等級によって算出される「逸失利益」は、後遺障害があることによって失われる労働報酬を補償するものです。当事務所では、将来にわたる労働報酬を正しく算出するための、労務に関する知識や訴訟におけるポイントに精通しています。そのため交渉、訴訟を通じ、適正な逸失利益を算出し、納得のいく解決へと導きます。
等級が確定した後の相談にも応じます
等級が確定した後で、その内容に不服があるという場合もご相談ください。異議申立てや紛争処理機構への調停などの手続をとることができます。