2015.06.22更新

信号交差点における原付と自動車の出合頭衝突で被害者が死亡した事案について、加害自動車に制限速度違反があったものの事故との因果関係を否定し、原付の赤信号無視から加害者を免責しました(東京高等裁判所平成25年9月19日判決・自動車保険ジャーナル1913号・108頁)

<弁護士のコメント>

本件のような事故態様では、供述の信用性が問題になります。裁判所は、一貫して供述していること、制限速度30キロの道路を50~60キロで進行したという自身に不利な事実も供述していることから、青信号を確認したとの加害者の供述の信用性を認めました。また、青信号進入の場合に過失が問われるかという点について、最高裁判所昭和46年6月21日判決、同昭和52年2月18日判決を引用し、基本的には過失責任を問われないことを確認しています。

信号交差点で赤進入二輪車対青進入四輪車の過失認定事例としては、他に、①大阪地裁平成3年8月30日判決(交民集24巻4号986頁。赤信号進入の被害原付車に9割の過失相殺)、②東京地裁平成6年6月9日判決(交民集27巻3号783頁。赤信号無視の原付に対して加害者が自賠法3条但書免責、③東京地裁平成11年11月26日判決(自保ジャーナル1356号。被害バイクの赤信号無視を認定し加害タクシーを免責。)があります。

<争点>

・過失割合(原付VS自転車)

・過失割合(信号のある交差点での出合頭衝突)

投稿者: 小島法律事務所

2015.06.10更新

信号交差点において双方交差道路から進入した事案において、どちらが信号無視をしたかが争われた事案において、裁判所は、事故当時の信号表示がどうであったかは不明として、双方の請求を棄却しました。もっとも、自賠法3条に基づく請求は過失相殺をすることなく認めました(大阪地方裁判所平成25年7月16日判決・自動車保険ジャーナル1912号85頁)。

<弁護士のコメント>

本件は、信号交差点において、交差する道路から進入してきたにもかかわらず、双方が相手の信号無視を主張した事案です。このような事案の場合、双方運転者の供述の信用性の判断が中心になりますが、本件では、双方の供述がともに信用性が乏しいと判断されています。民事訴訟では、原告に立証責任があることから、本件のような事案では、双方の請求が棄却されることは十分にあり得ることです。ただ、実際にはどちらかが嘘をついている可能性が高いわけですから、双方棄却という結論は、双方の依頼者にとっては納得のいくものではないでしょう。

もっとも、裁判所は、被害者の損害については自賠法3条によって認めています。これもまた、理論上はその通りではあるのですか、一般市民の感覚からするとなかなか理解しがたいところだと思います。なお、自賠法3条による請求なので「人身損害」のみが対象となり、「物損」については棄却ということになります。

<争点>

・過失相殺

投稿者: 小島法律事務所

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