2015.06.10更新

本件事故の約8か月前に事故にあい、入院を伴う通院中の被害者がダンプカーの牛とにバイクで停止していたところ、後退してきたダンプカーと衝突し、自賠責14級9号の認定を受けた事案について、裁判所は、本件事故によって傷害や外傷後ストレス障害等の非器質性精神障害を受傷したとは認められないとして、因果関係を認めませんでした(東京地方裁判所平成25年10月1日判決・自動車保険ジャーナル1912号96頁)。

<弁護士のコメント>

本件事故で、被害者は、衝突によって店頭することなく、バイクにまたがったまま立っていました。このような事故状況では、PTSDを発症したと考えるのは困難です。また、頸椎捻挫等については、自賠責による後遺障害認定がなされていたにもかかわらず、損害の発生が否認されています。本件事案においては、器質的損傷を裏付ける画像所見がなく、また前の事故の傷害も治癒していませんでした。なお、交通事故によるPTSDの発症を否認した事例としては、他にも名古屋高裁平成25年6月21日判決(自動車保険ジャーナル1902号)、大阪地裁平成24年11月27日判決(自動車保険ジャーナル1889号)、新潟地裁平成24年10月30日判決があります。

<争点>

・後遺障害(PTSD)

・後遺障害(自賠責認定を否定)

投稿者: 小島法律事務所

2015.05.23更新

自賠責14級9号認定の症状固定時44歳の原告の後遺障害逸失利益について「原告甲野には、後遺障害として、神経症状(左尺骨肘頭骨折後の肘関節の痛み)が残存しており、これが自賠責保険の後遺障害等級14級9号に認定されたこと、原告甲野の事故前の年収が年467万8686円であることは当事者間に争いがない。また、証拠によれば、原告甲野の仕事はD会社b工場における車両の塗装作業であり、ボンネットなどの重い部品を運ぶ作業などをしていることが認められる。そうすると、痛みがある部位に常に負荷がかかっているのであるから、容易に神経症状が解消されるとは考えられず、労働能力喪失期間は23年間(対応するライプニッツ係数は13.4886)と認めるのが相当である」と判断しました(横浜地方裁判所平成25年9月20日判決・自動車保険ジャーナル1910号155頁)。

なお、原告は「原告甲野の左ひじ関節の可動域制限は、自賠責の後遺障害等級としては認定されなかったが、左肘の「伸展-20度」という可動域制限が存在することは事実であり、この障害が日常生活に多大な支障を生じさせることは明らかであるから、単なる神経症状のみが認められる14級の場合と異なり、労働能力喪失期間は67歳までとするべき」との主張をしていました。

<弁護士のコメント>

14級9号の場合、労働能力喪失期間が比較的短期間に制限される例がありますが、本件では、被害者の業務内容等から67歳までの労働能力喪失を認めています。

<争点>

労働能力喪失期間の制限

・人傷先行と過失相殺

投稿者: 小島法律事務所

2015.05.23更新

自賠責において「局部に神経症状を残すもの」として14級9号が認定された原告の後遺障害逸失利益について「原告の本件事故による後遺障害は、左下肢のしびれの症状であるところ、具体的には、携帯電話のバイブレーションのようなしびれが常にあるものの、弱いしびれであるというものであり、携帯電話のバイブレーションと紛らわしいため、間違えて携帯電話に出てしまったり、逆に携帯電話に出られなかったりしたことが何度かあるほかには、原告の仕事や生活に特に支障が生じていないことが認められること(原告本人)からすると、原告が、後遺障害により、将来にわたって収入が減少すると認めることは困難である。したがって、後遺障害による逸失利益を認めることは困難である」として、否定しました(東京地方裁判所平成25年8月6日判決・自動車保険ジャーナル1910号141頁)。

<弁護士のコメント>

本件で被告は自賠責14級9号の認定にもかかわらず後遺障害の残存を否定していました。そして、裁判所の判断でも、14級9号の後遺障害逸失利益について否定されています。

<争点>

・後遺障害逸失利益の有無(14級9号)・修理費用の相当性・着衣、携行品の損害評価

投稿者: 小島法律事務所

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