2015.06.23更新

夜間(午後10時ころ)、交差点における自動車同士の出合頭衝突で、原告車運転中の被害者(昭和50年生まれ)が車外に放り出されて死亡した事案について、被告が本件交差点にすら気づかず、一時停止義務も怠ったことなどを理由に過失相殺を否定しました(名古屋地方裁判所平成25年10月25日判決・自動車保険ジャーナル1913号128頁)。

<弁護士のコメント>

被害者の死因が頭部外傷による脳挫傷であることからすると、被害者がシートベルトを装着していなかった点が損害の拡大につながったとも考えられますが、本件では、たとえシートベルトを装着していたとしても重大な結果が生じていた可能性が高いとされました。

なお、物損の示談や人身損害の交渉段階においても、過失相殺を主張していませんでしたが、この点について裁判所は特に判断していません。

<争点>

過失相殺(自動車VS自動車)

・過失相殺(シートベルト不装着)

・死亡逸失利益(老齢基礎年金部分・否認)

・入院慰謝料(搬送当日死亡・肯定)

・弁護士費用相当損害金(被害者請求をしていないことを考慮)

投稿者: 小島法律事務所

2015.05.22更新

65歳男子の死亡逸失利益について「亡太郎の逸失利益の基礎収入のうち、給与収入分については、前記年247万5870円であると認めるのが相当である。この点、原告らは、亡太郎において、経理業務の知識や経験を生かして、より収入の高い仕事に転職する意思を有し、その機会も十分に見込まれたと主張し、原告花子や、これに沿う陳述をする。しかし、本件において、亡太郎が、転職のため、具体的に求職活動をしていたと認めるに足りる証拠は提出されておらず、亡太郎の転職の蓋然性を認めることは困難である。また、前記認定事実のとおり、亡太郎が前記雇用契約について平成21年8月20日以降の1年間について勤務継続の意思表示をしていたにすぎなかったとしても、そもそも、亡太郎の前記雇用契約は、単年度契約であったから、前記勤務継続の意思表示をもって、平成22年8月19日以降については、亡太郎が転職する蓋然性があったと認めることも困難である。そして、C会社における高齢者の雇用実績や、亡太郎の当時の年金収入の存在も踏まえると、結局、亡太郎において、死亡当時、年247万5870円以上に平均賃金程度の給与収入を得る蓋然性があったと認めることは困難である」とし、年金収入分については、「亡太郎の年金収入分の逸失利益のうち、亡太郎が給与収入を得られる蓋然性があった9年間(対応するライプニッツ係数は7.1078)については、生活費控除率を亡太郎の給与収入分と異にする理由はなく、50%とするのが相当であるが、亡太郎が年金収入のみを得ることとなる残りの約9年間(対応するライプニッツ係数は11.6896から7.1078を減じた4.5818とするのが相当である。)については、原告らに対する生活援助の必要性も減少しているものと推認するのが相当であるから、生活費控除率を60%とするのが相当である」としました(東京地方裁判所平成25年9月18日判決・自動車保険ジャーナル116頁)。

<弁護士のコメント>

生活費控除率の判断において、家族への生活援助の必要性が減少するとの推認をしています。

<争点>

・歩行者の過失

・生活費控除率

・遺族の固有の慰謝料

投稿者: 小島法律事務所

2015.05.22更新

47歳公務員の主婦Aの死亡逸失利益について「源泉徴収票には、控除対象配偶者や扶養親族の記載はないことが認められ、事実関係に照らすと、Aは、本件事故に遭わなければ、定年まで13年間は本件事故前年の年収を、その後67歳までは賃金センサス平成22年1巻第1表による大学卒女子労働者の年齢別平均賃金程度の年収をそれぞれ得る蓋然性はあったというべきであり、本件事故と相当因果関係のある逸失利益は、生活費控除率を4割として、5343万6266円と認めるのが相当」としました(東京地方裁判所平成25年9月30日判決・自動車保険ジャーナル85頁)。なお、赤い本によると、「一家の支柱」については生活費控除率を40%とし、「女性(主婦、独身、幼児等を含む)については生活費控除率を30%としています。

<弁護士のコメント>

被害者の職業は公務員なので定年は60歳とわかります。そこで、事故前年の年収による死亡逸失利益を60歳までとし、その後は賃金センサスによって認定しています。

<争点>

・死亡逸失利益(基礎収入)

・生活費控除率

・遺族の固有の慰謝料

投稿者: 小島法律事務所

entryの検索

月別ブログ記事一覧

判例のご紹介 交通事故に遭ってからのご相談の流れ
弁護士に相談するメリット 交通事故の相談に対する6つの安心
弁護士費用について 事務所紹介 オフィシャルサイト