2015.06.10更新

信号交差点において双方交差道路から進入した事案において、どちらが信号無視をしたかが争われた事案において、裁判所は、事故当時の信号表示がどうであったかは不明として、双方の請求を棄却しました。もっとも、自賠法3条に基づく請求は過失相殺をすることなく認めました(大阪地方裁判所平成25年7月16日判決・自動車保険ジャーナル1912号85頁)。

<弁護士のコメント>

本件は、信号交差点において、交差する道路から進入してきたにもかかわらず、双方が相手の信号無視を主張した事案です。このような事案の場合、双方運転者の供述の信用性の判断が中心になりますが、本件では、双方の供述がともに信用性が乏しいと判断されています。民事訴訟では、原告に立証責任があることから、本件のような事案では、双方の請求が棄却されることは十分にあり得ることです。ただ、実際にはどちらかが嘘をついている可能性が高いわけですから、双方棄却という結論は、双方の依頼者にとっては納得のいくものではないでしょう。

もっとも、裁判所は、被害者の損害については自賠法3条によって認めています。これもまた、理論上はその通りではあるのですか、一般市民の感覚からするとなかなか理解しがたいところだと思います。なお、自賠法3条による請求なので「人身損害」のみが対象となり、「物損」については棄却ということになります。

<争点>

・過失相殺

投稿者: 小島法律事務所

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