2015.06.16更新

64歳女子原告が乗車したバスが信号待ちで停止中に普通乗用自動車に玉突き追突された事案(頸椎捻挫等で自賠責14級9号認定)について、脳脊髄液減少症及び軽度外傷性脳損傷(MTBI)の発症については、いずれも要件を充足するものではないとして否認されました。なお、被害者は、交通事故によって脳及び身体が損傷されてその治療行為が現在も続いていることの確認についても求めましたが、裁判所は確認の利益がないとして却下しました(東京地裁平成25年10月28日判決・自動車保険ジャーナル1913号・1頁)。

<弁護士のコメント>

脳脊髄液減少症については、①起立性頭痛が認められないこと、②画像所見がないこと、③ブラッドパッチの効果がないことによって、本件事故による発症が否認されています。なお、医師の診断においても、はっきりとした診断がされていたわけではありませんでした。

また、軽度外傷性脳損傷(MTBI)については、WHOの診断基準を満たさないとして発症が否認されました。

なお、軽度外傷性脳損傷(MTBI)が否認された事例としては、他に、大阪地裁平成23年9月29日判決(自動車保険ジャーナル1866号)、東京高裁平成22年11月24日判決(自動車保険ジャーナル1837号)がありますが、いずれも14級9号が認定されています。

<争点>

・脳脊髄液減少症

・軽度外傷性脳損傷(MTBI)

投稿者: 小島法律事務所

2015.06.05更新

タクシー業務に従事中の59歳男性が追突事故によって軽度外傷性脳損傷を負ったとの事案について、裁判所は、本件事故による後遺障害の残存を否認しました(大阪地方裁判所平成25年9月13日判決・自動車保険ジャーナル1912号25頁)。。

<弁護士のコメント>

本件では、軽度外傷性脳損傷を肯定する内容の意見書が提出されていましたが、裁判所は、本件事故による発症を否定しました。その理由は、同意見書の中の原告の供述内容が客観的証拠と矛盾することによります。すなわち、原告に意識障害があった旨の証拠はなく、むしろ意識清明であったと医療記録に記載されていたところ、原告は意識を失っていたと供述していました。つまり、意見書の前提が間違っている以上、たとえ医師が作成した意見書であっても、その信用性が肯定されることはないということです。

軽度外傷性脳損傷の事案の場合、本件のように、意識障害の有無が問題になります。本件の事故態様は軽微な追突事故であったことからも、裁判所は意識障害を認めなかったものと考えられます。

<争点>

・軽度外傷性脳損傷

投稿者: 小島法律事務所

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