2015.06.22更新

ゴミ収集業務に従事する42歳男子公務員(事故後の減収なし)の左橈骨骨折等から自賠責併合14級後遺障害を残す事案の後遺障害逸失利益について、原告に職務上具体的な支障が生じていることや事故後に配転をしてもらったこと、原告自身の工夫によって職務に営業を与えないようにしていること等から、減収がなかったにもかかわらず、10年間5%の労働能力喪失を認めました(神戸地方裁判所平成25年9月12日判決・自動車保険ジャーナル1913号97頁)。

<弁護士のコメント>

本件では、減収が生じない場合であっても、後遺障害逸失利益が認められています。本件のように、減収がないにもかかわらず後遺障害逸失利益を主張する場合は、その労働に対する影響や本人の努力によって減収がなかったことを主張・立証することになりますが、本件の特徴は、被害者が「公務員」であり、本人がたとえ努力しなくても減収がそもそも観念できないような事案であることです。なお、労働能力喪失率及び労働能力喪失期間については、神経症状は経年により緩和する可能性が高いと考えられることを理由に。労働能力喪失率5%、労働能力喪失期間10年間としました。

<争点>

・後遺障害逸失利益(減収なし)

・交通事故証明書及び印鑑証明書取付費用(因果関係肯定)

・車両時価額(インターネット<レッドブック)。

投稿者: 小島法律事務所

2015.06.15更新

3000台のみ生産されたバイク(95周年限定記念モデルの98年式ハーレーダビッドソン)の損害について、購入額である100万円を超えた230万円を損害額として認定しました。また、右足関節機能障害(自賠責併合9級)について、就労可能年数にわたって30%の労働能力喪失率を認めました。

<弁護士のコメント>

裁判所の判断の根底には、100万円以上の価値のあるもの(230万円の価値のあるバイク)を100万円で購入しただけであり、230万円の損害を認めることが原状回復になるということになります。仮にもう1台同じバイクを購入しようとしたら、100万円では購入できないでしょうから、裁判所の判断は相当だと考えられます。

また、後遺障害逸失利益については、減収の割合が多くなっていない(20%)ことは原告の努力によるものであるとして、労働能力喪失率としては30%としています。自賠責9級の場合、35%が原則となりますから、若干低めになっています。もっとも「機能障害」=「就労可能年数にわたる労働能力喪失期間」として、67歳までの労働能力喪失を認めています。本件では原告の減収が少ないこと及び後遺障害自体の影響について争いがあったことから労働能力喪失率が争点となっています。

この点、足関節障害等から併合9級の後遺障害残存事例の逸失利益については、①大阪地裁平成25年2月8日判決(自保ジャーナル1900号)が67歳まで27%の喪失率を認め、②横浜地裁平成23年9月29日判決(自保ジャーナル1860号)が67歳まで35%の喪失率を認め、③徳島地裁平成21年3月5日判決(自保ジャーナル1824号)が平均余命の2分の1の期間について35%の喪失率を認めています。したがって、喪失期間については通常通りとなり、喪失率については争いがあることがうかがわれます。

<争点>

・物損(車両時価額)

・物損(車両積載物)

・治療費(飛蚊症の検査費用及び治療費)

・後遺障害逸失利益(労働能力喪失率)

投稿者: 小島法律事務所

2015.06.04更新

神奈川県在住の原告が通院していた栃木県の整骨院の通院交通費について、同時に他の接骨院でも施術を受けていたことや、遠方の通院先を選択したことに特別な事情が認められないとして、相当因果関係を否定されました(横浜地方裁判所平成25年10月17日判決・自動車保険ジャーナル1911号167頁)。

<弁護士のコメント>

本件では、治療費について被告が争わず、通院交通費について争っています。本件のように、遠方への通院交通費が認められる場合としては、当該傷病の権威の医師の治療を受けるなどの特別な事情が必要になると考えられます。また、通院交通費についてはタクシー代の是非についても争われ、タクシーを利用する必要性を認めるに足らないとされました。

<争点>

・通院交通費

・治療費(施術費)

・過失相殺(損害拡大防止義務)

・車両損害(全損)

投稿者: 小島法律事務所

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