2015.05.22更新

週3回人工透析に通院する原告妻(専業主婦)の休業損害算定の収入認定につき、原告妻は「本件事故当時、夫である原告及び長男と同居し、専業主婦として家事を行っていたものの、慢性腎不全を患い、末期腎不全と診断されて、1週間に3回、午後2時30分ころより人工透析に通っており、透析日には透析前におおよその家事を済ませていたものの、透析後には家事を行える状態ではなかったことが認められる。これらの事実によれば、原告妻の本件事故当時の家事労働を金銭評価すれば、賃金センサス平成22年第1巻第1表産業計・企業規模計・学歴計・女子労働者の全年齢平均の賃金額345万9400円の50%に当たる172万9700円と認めるのが相当である」と認定しました(神戸地方裁判所平成25年9月19日判決・自動車保険ジャーナル95頁)。

<弁護士のコメント>

主婦休損については賃金センサスに従うのが通例ですが、本件においては、週3回の人工透析の日には家事ができる状態ではないという理由で賃金センサスの50%を基礎収入としました。

<争点>

・休業損害(主婦休損)

・会社の損害

投稿者: 小島法律事務所

2015.05.13更新

対面信号が青矢印であったために右折したタクシーと対向車線から赤信号無視で直進してきたバイクが衝突した交通事故における過失割合が問題になりました。なお、本件に先立って判断された自賠責では、バイクの運転者について傷害分20%、後遺障害分30%の重過失減額がされていました(8割以上9割未満の過失)。裁判所は、原告車が本件交差点入口手前の停止線を通過した時点では、対面する信号信号は既に赤に変わっており、又は黄色から赤に変わる間際であったと認定しました。そして、原告車が停止線を通過した後に本件交差点に進入する時点では、既に赤色信号に変わっていたとしました。 他方、本件交差点の規模・客観的や交通量に照らすと、タクシーの運転者は、交差点を右折するに当たり、対面する信号機の信号表示が黄から赤・青右折矢印に変わった直後であったから、対向車線を黄色信号から赤色信号に変わった直後に進入してくる車両の存在に注意しつつ徐行して進行すべき義務があるのに、これを怠ったものと判断しました。そして、結論として、バイクの運転者の過失割合を80%としました。

また、休業損害については、本件事故による欠勤を理由に解雇されたとの原告の主張を否認しつつも、「本件事故発生日から退職日までの101日に加え、再就職のために必要な期間として退職後90日分を休業損害算定の基礎に加えるのが相当」としました(東京地裁平成25年8月7日・自動車保険ジャーナル1909号・87頁)。

<弁護士のコメント>

右折の青矢印に従って右折した場合、対向車は赤信号で交差点に進入したことになります。したがって、原則としては、青信号矢印にしたがって、右折したタクシー運転手には過失はないことになりそうです。もっとも、裁判所は、本件事案の特殊性を評価して、タクシー運転手に2割の過失を認定しました。裁判氏は、自賠責の重過失減額を参考にして訴訟における過失割合を認定しています。

<争点>

・過失割合(重過失減額)

・休業損害

投稿者: 小島法律事務所

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