2015.05.22更新

22年前から断続的に右肩痛等で受診歴を有する62歳女子准看護師の原告が被告バス乗車時にドア開閉により受傷したとの主張につき「本件事故の前後で、頸と右肩の症状は大きく異なる。また、本件事故後のMRI撮影で、右肩について、腱の部分断裂が、滲出液増と共に認められた。したがって、原告の右肩腱板損傷が、外力の要因なく、加齢による変性によって発症したとは考え難い。そして、本件事故の頃、本件事故の外、このような症状の相異を発生させる外力の存在を認める証拠はない。よって、原告の受傷は、本件事故と相当因果関係を認める。」とし、被告の主張に対しては「外力の程度と人体への影響の関係は、複雑な要素(接触面積・衝突部位の可塑性・防御意識・頑健さ等)によって影響されるから、単純に外力の程度が小さいから人体への影響も小さいとは評価できない。」などとしました。原告の後遺障害については、自賠責の認定どおり12級6号とした上で「労働能力を、10年間、14%喪失した」と認定しました。一方、本件事故前の治療・施術が断続的であったこと、本件事故前後の症状の相異が大きいこと、他方、本件事故前の症状の軽さをいう原告の供述は信用できないばかりか意図的であって、むしろ症状が重かったことを推認させる」として、損害額全体から30%の素因減額を行いました(京都地方裁判所平成25年9月19日判決・自動車保険ジャーナル64頁)。

<弁護士のコメント>

素因減額の場合、割合とともに、損害額のどの費目を減額するかが問題になりますが、本件では損害額全体から30%の素因減額をしています。

<争点>

・労働能力喪失率

・労働能力喪失期間

・素因減額

投稿者: 小島法律事務所

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