2015.05.25更新

身体障害者手帳5級交付の72歳男子が前頭葉脳挫傷等受傷後の後遺障害認定につき、9級既存障害の素因減額が争点になった事案の判断の枠組みについて「本件の損害項目を見てみると、その内容は治療費と雑費の他は慰謝料(入通院に関するもの、後遺障害にかんするもの)のみであり、休業損害や逸失利益といった消極損害が争われているわけではない。また、金銭的にも後遺障害慰謝料がその大半を占めている一方、治療費、雑費、入通院慰謝料の各項目は相対的に小さい比重しか占めておらず、また治療期間についても、原告の主張によっても、入院3日、通院実日数17日と短く、上記のような事故態様や、脳挫傷・硬膜下血腫等の診断を受けた事案の治療として、殊更に遷延化しているとか、治療費や入通院慰謝料が膨張しているというような状況にあるわけでもなく、これらの損害項目について素因のために殊更に拡大が生じているとか、あるいは事故態様との間で著しい不均衡が生じているということはできないところであり、素因の関与はもっぱら後遺障害慰謝料について生じているものと考えられる。そして、実際問題として、治療費や入通院慰謝料について、事故による急性症状の部分、後遺障害につながる起立障害の部分、難聴の部分に明確に切り分けることも困難であることを考慮すべきである。このように考え、本件では素因減額をしなければ晃平に反すると考えられるのはもっぱら後遺障害慰謝料であるとととらえることとし」たと判断しました(大阪地方裁判所平成25年7月16日判決・自動車保険ジャーナル1911号13頁)。

<弁護士のコメント>

素因減額をする場合に、どの損害項目から減額するかが問題になりますが、本件では、損害額及び治療状況からして後遺障害慰謝料に限定して素因減額をしている点が重要です。

<争点>

・素因減額

・労働能力喪失率

投稿者: 小島法律事務所

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