2015.05.26更新

公認会計士試験の短答式試験に合格していることから、公認会計士の平均年収を基礎収入と主張する21歳男子大学3年生Aの死亡逸失利益算定について、Aは本件事故当時、未だ大学3年生で、大学を卒業してすらいないこと、就職先が内定していたわけでもなく、将来において大卒者の平均賃金を上回る収入を得ることができるという高度の蓋然性があるとまではいうことができないことから、死亡逸失利益の基礎収入については、賃金センサス男性労働者大学・大学院卒の全年齢平均と認定して、生活費控除を5割としました(東京高等裁判所平成25年5月22日判決・自動車保険ジャーナル1911号75頁)。

<弁護士のコメント>

本件の1審判決では、裁判所は、被害者が大学生であるところ、公認会計士試験における合格率や難易度を問題にしています。 この点、別の裁判例では、歯科医のケースで似たような判断がなされています。大阪地方裁判所平成20年3月27日判決(自動車保険ジャーナル1761号)は、歯学部の大学生の死亡逸失利益について、合格率の高さ等を考慮してセンサス男子歯科医平均の90%を基礎収入にしています。この2つの裁判例を比較すると、要するに、公認会計士は合格率が低く、歯科医は合格率が高いということになるでしょう。歯科医の場合、大学入学時点で、専門の学科に入っているわけですから、合格率が高いこととあいまって、たとえ大学生であっても、歯科医として勤務する可能性が高いといえるでしょう。

<争点>

・死亡逸失利益の基礎収入

投稿者: 小島法律事務所

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