2015.05.09更新

自賠責5級2号高次脳機能障害(併合3級)を残す50歳男子板金工の後遺障害逸失利益について、就業規則上、従業員の定年が満65歳とされていたことから、65歳まで実収入、その後2年間は賃金センサス男子同年齢平均によって算定しました。本件では、原告は、定年後も同社に継続勤務する黙示の合意があったと主張しましたが、それを裏付ける証拠はなかったことから認められませんでした。なお、65歳までの15年間はライプニッツ係数を10.3797として算定し、その後の2年間については、17年に対応するライプニッツ係数11.2741から前記15年に対応する10.3797を控除した0.8944として算定しています(東京地方裁判所平成25年7月31日判決・自動車保険ジャーナル1909号51頁)。

<弁護士のコメント>

高次脳機能障害とは、脳の器質的損傷によって生じた、脳の様々な機能の低下をいいます。高次脳機能障害等の後遺障害が残存した場合「後遺障害逸失利益」の算定が問題になります。本件では、被害者が勤務する会社の就業規則をもとにし、定年までは事故前の収入を基礎とし、定年後は賃金センサスを基準に67歳までの後遺障害逸失利益を算定しています。後遺障害逸失利益の場合、被害者の勤務実態が問題になるので、就業規則の規定が証拠としての大きな価値を有します。

<争点>

・後遺障害逸失利益

・高次脳機能障害

投稿者: 小島法律事務所

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