2015.05.13更新

乳がんがステージⅣと診断された女性(生存率17.1%)が氏名不詳者に接触された事故で路上に横臥していた際に、第2事故が発生し、死亡するに至った事案について、遺書等がなく、被害者に自殺のそぶりも見られないことから、乳がんステージⅣであったとしても、直ちに自殺であると認めることはできないとしました。また、被害者が事故当時横臥(横になっていること)していたことについては、第1事故によるものであると認定し、単に被害者が横臥していたことをもって、自殺の事情とすることはできないと判断しました。そして、自殺が否定される以上、故意による事故ではないとされ、因果関係が肯定されました。また、過失相殺については第1事故の事故態様が不明なことから「相対的過失割合」によることとし、被害者の過失を6割としました(名古屋地裁平成25年7月3日判決・自動車保険ジャーナル1909号79頁)。

<弁護士のコメント>

仮に、被害者による自殺であるとの認定がされた場合、加害者の過失と損害との間に相当因果関係がないことになります。本件では、路上横臥者が自殺であることを疑わせるような事情があったとしても、自殺であることを裏付ける客観的証拠がないことから自殺であることは否認されました。

<争点>

・因果関係(自殺)

・共同不法行為(相対的過失割合)

投稿者: 小島法律事務所

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