2015.06.17更新

自賠責14級9号に認定されたものの、CRPS発症したとして5級相当と主張した事案について、1審では、労災及び自賠責保険におけるCRPSの認定基準(①関節拘縮、②骨委縮、③皮膚の変化(皮膚温の変化・皮膚の萎縮)という慢性期の主要な3つのいずれの症状も健側と比較して明らかに認められる場合)に照らして、否認しました。控訴審では、自賠責基準を基本としつつ、それ以外の診断基準も踏まえて総合的に判断するとしながらも、被害者のCRPS該当性を否認しています(東京高裁平成25年10月31日判決・自動車保険ジャーナル1913号38頁)。

<弁護士のコメント>

本件では、CRPSとの医師の診断があり、しかも、関節の拘縮や骨委縮があると診断書に記載されていました。しかしながら、要件を充足しているとは認められませんでした。なお、本件では被害者は左上肢の機能を全廃していることから、事故の程度は相当激しかったものと考えられます。したがって、医師の診断と合わせて考えると、被害者には、CRPSをうかがわせる何らかの症状が出ていても不思議はない考えられます。もっとも、CRPSは「疼痛」で目に見えない以上、認定基準に該当することを主張・立証することが重要になります。

本件では、810万円以上のタクシー代の請求についても否認されています。

<争点>

・CRPS

・通院交通費(タクシー代)

投稿者: 小島法律事務所

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