2015.06.02更新

横断歩道上の自転車同士の追い抜き事故について、①先行自転車の運転者Xが80歳であったこと、②後行自転車が強引に抜き去ったことなどから過失割合を50:50としました。また、Xの休業損害については、賃金センサス女子70歳以上の7割未満の日額5700円を基礎にして入院期間について休業損害を認めています(大阪地方裁判所平成25年6月18日判決・自動車保険ジャーナル140頁)。

<弁護士のコメント>

・過失割合:別冊判例タイムズ38号には自転車同士のものが掲載されていません。もっとも、本件は先行車がかなり特殊な走行をしていることから、汎用性がある裁判例とは考えられず、過失割合については事例判断としての意味しか持たないと考えられます。

・高齢女子の家事従事者の休業損害:高齢女子の場合、休業損害の算定にあたっては、本件のように賃金センサスを一部修正するのが一般的です。もっとも、どのような家事労働を行っているかは、年齢によって一義的に決することができるものではありませんから、結局、実態に即した判断となります。

・人身傷害先行払いの場合の過失相殺:人身傷害保険とは、自分が契約している保険会社に対して人身損害に関する補償を求めるものです。人身傷害保険が賠償に先行して支払われた場合(人傷先行払い)のときに過失相殺をどのように判断するかについては、かつては諸説ありましたが、現在は裁判基準差額説が通説です。本件でもいわゆる裁判基準差額説を採用したものと考えられます。

<争点>

・過失割合

・休業損害(高齢女子)

・裁判基準差額説

投稿者: 小島法律事務所

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