歩行中に普通貨物自動車に衝突され、初診時に頸椎捻挫等の診断を受け、排便・排尿障害12級13号(自賠責14級9号)を主張する42歳男子について、排便・排尿障害を12級相当と認定しました。また、労働能力喪失率については、少なくとも14%以上の影響があるとして、原告が主張する14%を認めています。なお、本件では、交差点において、被害者が赤点滅信号で横断し、加害車両が黄点滅信号で交差点に進入した事案ですが、被害者に過失相殺をしませんでした(大阪地方裁判所平成25年8月27日判決・自動車保険ジャーナル1912号・56頁)。
<弁護士のコメント>
本件で問題になった排便・排尿障害について、裁判所は、便や尿の外部への流出という形で症状が客観的に判明することから、詐病の危険性は低く、画像所見(馬尾神経の圧迫)があることから、因果関係を肯定しています。交通事故によって排便・排尿障害が発生したというのは特異な事案ではありますが、本件が歩行者と貨物自動車との衝突事故であり、決して軽微なものとはいえないことからすると、事故との因果関係を否定することも困難だと考えられます。なお、本件以外に排尿障害と交通事故との相当因果関係が争われた事例としては、腰椎椎間板障害が排尿障害の原因とされた名古屋地方裁判所平成22年10月22日判決(自動車保険ジャーナル1838号)があります。 また、労働能力喪失率については、常時おむつを必要とすることになった被害者の状況及び被害者が警備員であることから継続勤務が困難になることなどを評価しています。
<争点>
・後遺障害(排便・排尿障害)
・労働能力喪失率
・過失相殺(歩行者VS自動車)