被害者に自賠責7級の高次脳機能障害と自賠責10級の聴覚障害が残存した事案において、労働能力の喪失をもっぱら高次脳機能障害の問題であるとして、労働能力喪失率56%としました。また、被害者が未成年者(症状固定時16歳)であることなどを理由に、母親の通院付添の必要性を認め、通院付添看護費として日額1000円を認めました(大阪地方裁判所平成25年8月28日判決・自動車保険ジャーナル72頁)。
<弁護士のコメント>
裁判所が認定した労働能力喪失率56%は、自賠責7級相当ですから、要するに、裁判所は聴覚障害を度外視して労働能力喪失率を認定したことになります。聴力の問題で具体的な支障が認められない事案でしたから、裁判所の判断は相当であると考えられます。これに対して、聴覚障害による生活や仕事への影響が顕著な場合にまで本裁判例は妥当するものではないと考えられます。
<争点>
・高次脳機能障害
・聴覚障害
・通院付添看護費
・裁判基準差額説