2022.07.22更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「交通事故の過失割合」についての解説です。
今回は、車同士の事故のうち、信号機により交通整理の行われていない交差点における出合い頭事故(一方道路車両用信号赤色表示と押しボタン式歩行者用信号青色表示(交差道路の車両用信号なし)の交差点の場合)を取り上げます。
一方道路の信号が常時青信号で、横断歩行者が歩行者専用の押しボタン式信号機を操作した場合にのみ、一方道路の信号が赤信号になり、それに伴い、交差道路に沿って一方道路を横断する歩行者用専用の信号が青信号になるような交差点の場合も、交差道路から交差点に進入する車両に対する関係では、「信号機により交通整理の行われていない交差点」になります。

<別冊判例タイムズ38号>
交差点における直進車同士の出合い頭事故
交通整理の行われていない交差点における事故
   一方道路車両用信号赤色表示と押しボタン式歩行者用信号青色表示(交差道路の車両用信号なし)の交差点の場合【106】
1 基本過失割合
  歩行者用青30:車両用赤70
2 修正要素
(1)歩行者用青に何らかの過失あり又は車両用赤の明らかな先入:+10
(2)歩行者用青の著しい過失:+10
(3)歩行者用青の重過失:+20
(4)歩行者用青の減速:-10
(5)歩行者用青の一時停止後進入:-15
(6)車両用赤の著しい過失:-10
(7)車両用赤の重過失:-20

<赤い本>
 【38】図に記載があり、①基本過失割合、②修正要素ともに別冊判例タイムズ38号とは異なっています。
1 基本過失割合
歩行者用青20:車両用赤80
2 修正要素
(1)車両用赤の明らかな先入:+10
(2)歩行者用青の著しい過失:+10
(3)歩行者用青の重過失:+20
(4)歩行者用青の徐行又は一時停止後進入:-10
(5)車両用赤の著しい過失:-10
(6)車両用赤の重過失:-15

投稿者: 小島法律事務所

2022.07.15更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「傷病手当金と交通事故」の解説です。

 交通事故による怪我が原因で仕事を休んだ場合、被害者は、加害者に対し、減収分を休業損害として、損害賠償請求を行うことになります。

 しかし、加害者が休業損害の補償を任意に行わない場合、訴訟等を行う必要がありますが、補償が行われるまでの期間中の被害者やその家族の生活を保障する必要があります。

 この点、生活の保障として、「傷病手当金」の制度を利用することが考えられます。
 なお、傷病手当金は、協会けんぽの健康保険に加入している人、健康保険組合の健康保険に加入している人、公務員に支給されるものであるため、国民健康保険に同様な制度がないことには注意が必要です。

 

【傷病手当金とは】
 傷病手当金とは、病気やけがによる休業した場合、休業中の健康保険に加入している被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。

 傷病手当金の支給を受けるためには、以下の4つの条件を満たしている必要があります。

①業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
 健康保険を使用した場合に限らず、自費で診療を受けた場合でも、就労できないことについての証明があるときは支給対象となります。また、自宅療養の期間についても支給対象となります。
 ただし、労災保険の給付対象である業務上・通勤災害は支給対象外です。

②療養のため労務に服することができないこと(健康保険法99条1項)
 療養のため労務に服することができないかの判断は、主治医の意見等を基に、被保険者の労務の内容(職種や具体的な労務内容など)を考慮して判断されます。

③連続する3日間を含み4日以上労務に服することができなかったこと(健康保険法99条1項)
 傷病手当金は、療養のために3日間連続して休業し、4日以上休業した場合に、その3日間の待期期間を除いた、4日目以降の休業が支給対象となります。
 そのため、休業が1日や2日間しかない場合、2日間休業した後、1日出勤し、また2日間休業した場合は、傷病手当金支給の対象外となります。

④休業した期間について給与の支払いがないこと(健康保険法108条1項)
 休業中であっても、有給休暇の使用など会社から給与が支払われている場合、傷病手当金は支給されません。
 ただし、給与の支払いがあっても、その給与額が傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されます(健康保険法108条1項但書)。

 

【傷病手当金の支給期間】(健康保険法99条4項)
 傷病手当金が支給される期間は、支給を開始した日が令和2年7月1日以降である場合には、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月です。
 ただし、支給を開始した日が令和2年7月1日以前の場合には、支給を開始した日から最長1年6ヵ月です。

【傷病手当金の支給金額】(健康保険法99条2項)
 1日あたりの傷病手当金の支給金額は、「支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額」÷ 30日×2/3で算定します。
 そして、標準報酬月額は、傷病手当金支給開始日の以前12か月間の給与、賞与、手当などの総額÷12か月で算出します。

 

【休業損害と傷病手当金の関係】
 休業損害と傷病手当金は、休業に対する補償であることから、すでに休業損害を全額補償している場合には、休業損害の補償に加えて、傷病手当金の支給を受けることはできません。
 他方で、傷病手当金の支給を受けた後に、加害者から休業損害の補償を受ける場合には、傷病手当金と休業損害の差額分の補償を受けることになります。

投稿者: 小島法律事務所

2022.07.08更新

飯塚市の小島法律事務所より、2022年(令和4年)のお盆休みのお知らせです。

 誠に勝手ながら、当事務所は、令和4年8月11日(木)~8月15日(月)までをお盆休みとさせていただきます。

 ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承ください。

小島法律事務所

弁護士 小島邦夫

投稿者: 小島法律事務所

2022.06.24更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による交通事故の過失割合についての解説です。


 今回は、車同士の事故のうち、信号機により交通整理の行われていない交差点における出合い頭事故(一方道路車両用信号赤色表示と押しボタン式歩行者用信号青色表示(交差道路の車両用信号なし)の交差点の場合)を取り上げます。
 一方道路の信号が常時青信号で、横断歩行者が歩行者専用の押しボタン式信号機を操作した場合にのみ、一方道路の信号が赤信号になり、それに伴い、交差道路に沿って一方道路を横断する歩行者用専用の信号が青信号になるような交差点の場合も、交差道路から交差点に進入する車両に対する関係では、「信号機により交通整理の行われていない交差点」になります。

<別冊判例タイムズ38号>
 交差点における直進車同士の出合い頭事故
 交通整理の行われていない交差点における事故
 一方道路車両用信号赤色表示と押しボタン式歩行者用信号青色表示(交差道路の車両用信号なし)の交差点の場合【106】
1 基本過失割合
  歩行者用青30:車両用赤70
2 修正要素
(1)歩行者用青に何らかの過失あり又は車両用赤の明らかな先入:+10
(2)歩行者用青の著しい過失:+10
(3)歩行者用青の重過失:+20
(4)歩行者用青の減速:-10
(5)歩行者用青の一時停止後進入:-15
(6)車両用赤の著しい過失:-10
(7)車両用赤の重過失:-20

<赤い本>
 【38】図に記載があり、①基本過失割合、②修正要素ともに別冊判例タイムズ38号とは異なっています。
1 基本過失割合
  歩行者用青20:車両用赤80
2 修正要素
(1)車両用赤の明らかな先入:+10
(2)歩行者用青の著しい過失:+10
(3)歩行者用青の重過失:+20
(4)歩行者用青の徐行又は一時停止後進入:-10
(5)車両用赤の著しい過失:-10
(6)車両用赤の重過失:-15

投稿者: 小島法律事務所

2022.06.17更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による交通事故の過失割合についての解説です。
 今回は、車同士の事故のうち、信号機により交通整理の行われていない交差点における出合い頭事故(一方が優先道路である場合)を取り上げます。
 道路交通法上の優先道路(法36条2項)は、細い道路でもけっこうあてはまるので、実務で頻繁に使う過失割合です。優先道路といっても一時停止規制に準じて考えてよい場合もあるとの記載も見られますが、実際に裁判官が一時停止規制に準じた過失割合を採用することは少ない印象です。

<別冊判例タイムズ38号>
 交差点における直進車同士の出合い頭事故
 交通整理の行われていない交差点における事故
   一方が優先道路である場合【105】
1 基本過失割合
  優先車10:劣後車90
2 修正要素
(1)劣後車の明らかな先入:+10
(2)優先車の著しい過失:+15
(3)優先車の重過失:+25
(4)劣後車の著しい過失:-10
(5)劣後車の重過失:-15
※大型車修正(5%程度)の可能性あり。

<赤い本>
 【37】図に記載があり、別冊判例タイムズ38号とは、劣後車に大型車修正(+5)がある以外はほぼ同じ内容になっています。

投稿者: 小島法律事務所

2022.06.10更新

  飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による『時間制限駐車区画と駐車違反』の解説です。

 時間制限駐車区間とは、道路交通法上、『時間を限つて同一の車両が引き続き駐車することができる道路の区間であることが道路標識等により指定されている道路の区間』のことをいいます(道路交通法49条1項)。

 そして、時間制限駐車区画では、パーキング・メーター又はパーキング・チケットを使用して、駐車を管理します(道路交通法49条1項)。

 時間制限駐車区間の道路標識は、以下のものになります。

時間制限駐車区画

 この場合、「8時から20時」までの時間帯において、「60分間」のみ駐車することができることになります。

 では、道路標識等に反して駐車した場合、例えば、「20時から8時」の間、または、「60分以上」駐車した場合、どうなるのでしょうか。

 時間制限駐車区間の道路標識等に違反した場合、道路状況によっては、道路交通法違反となります。

 上記の例でいうと、「20時から8時」の時間帯に止めた場合、その道路が、駐停車禁止の場所である場合には、道路交通法44条1項または45条違反となります。
 なお、駐停車禁止の場所ではない場合でも、自動車の保管場所の確保等に関する法律11条2項に違反する可能性があるので、注意が必要です。
第11条 
『2 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 自動車が道路上の同一の場所に引き続き十二時間以上駐車することとなるような行為
二 自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き八時間以上駐車することとなるような行為』

 また、上記の例でいうと、「60分」を越えた場合には、道路交通法49条の3第2項違反となります。

第49条の3 
『2 車両(前条の規定により指定された道路の区間(次条において「高齢運転者等専用時間制限駐車区間」という。)にあつては、高齢運転者等標章自動車に限る。以下この条、第四十九条の六及び第百十九条の三第一項第二号において同じ。)は、時間制限駐車区間においては、当該駐車につき第四十九条第一項のパーキング・メーターが車両を感知した時又は同項のパーキング・チケット発給設備によりパーキング・チケットの発給を受けた時から、それぞれ道路標識等により表示されている時間を超えて引き続き駐車してはならない。』

 なお、時間制限駐車区間の道路標識等に違反して駐車した場合、以下の違反点数・反則金となります。
① 枠外駐車:違反点2点・反則金15,000円
② 枠外の駐停車禁止場所:違反点3点・反則金18,000円
③ 時間超過:違反点1点・反則金10,000円

投稿者: 小島法律事務所

2022.06.03更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「EDR」についての解説です。

 道路運送車両法第3章の規定に基づく保安基準の改正が行われ、同改正は、令和3年9月30日に施行されました。
 この保安基準の改正により、車に「事故情報計測・記録装置【EDR(Event Data Recorder)】」を搭載することが義務化されました。
 なお、EDRの搭載を義務付けられる車は、令和4年7月1日以降に販売される新型車及び令和8年7月1日以降に販売される生産継続車です。

 「EDR」とは、交通事故が起きた際の運転情報(車速、加速度、シートベルト着用有無等)を記録する装置となります。

 そして、EDRが記録する運転情報は以下の通りです。

① 事故発生時から0.25秒後までの速度変化量
② 事故発生時の5秒前から事故発生時までの車両表示速度
③ 事故発生時の5秒前から事故発生時までのアクセル・ブレーキペダル踏込みの有無
④ 事故発生時の1秒前のシートベルト着用の有無
⑤ 事故発生時の5秒前から事故発生時までの衝突被害軽減ブレーキの作動状態

 このように、EDRは、映像や音声を記録するドライブレコーダーではわからなかった交通事故時の運転情報を証拠化できるものであることから、交通事故に関する刑事裁判や民事裁判に影響を与えることが考えられます。

投稿者: 小島法律事務所

2022.05.27更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による交通事故訴訟の解説です。
 交通事故の被害者が加害者(加害者側保険会社)から受領した治療費について、本来支払われるべきでないのに支払われてしまったという特殊な事情がある場合、加害者から被害者に対する不法行為に基づく損害賠償請求あるいは不当利得返還請求が認められることがあります。
 普通の事件と異なるのは、①実際に支払ったのは加害者側保険会社であると思われること、②(不当利得として処理する場合)支払先は医療機関であるにもかかわらず、利得したのは被害者であるとされることです。
 この点についての裁判例としては、①広島地裁平成29年2月28日判決(自保1997)、②名古屋高裁平成31年4月11日判決(自保2051)があります。

投稿者: 小島法律事務所

2022.05.20更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「バックカメラ等の搭載義務化」についての解説です。 

 道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令が、令和3年6月9日に施行され、道路運送車両法に以下の保安基準が新設されました。
 なお、「後退時車両直後確認装置」とは、いわゆるバックカメラや後方検知システムのことです。

(後退時車両直後確認装置)
第44条の2
「自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車、被牽けん引自動車並びに後退時車両直後確認装置を備えることができないものとして告示で定める自動車を除く。)には、後退時に運転者が運転席において当該自動車の直後の状況を確認できるものとして、運転者の視野に係る性能等に関し告示で定める基準に適合する後退時車両直後確認装置を備えなければならない。ただし、後退時に運転者が運転者席において当該自動車の直後の状況を直接確認できる構造を有するものとして告示で定める自動車にあつては、この限りでない。」

 このように、道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令が令和3年6月9日に施行されたことにより、車両にバックカメラや後方検知システムを搭載することが義務化されました。
 なお、法令の適用対象は、令和4年5月以降に製造・販売される未登録の新型モデルです。
 そのため、現在使用している車両にバックカメラや後方検知システムが搭載されていないかったとしても、法令違反となるわけではありません。

投稿者: 小島法律事務所

2022.05.13更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による交通事故の過失割合についての解説です。
 今回は、車同士の事故のうち、信号機により交通整理の行われていない交差点における出合い頭事故(一方に一時停止の規制がある場合)を取り上げます。
一時停止規制がある場合、一時停止規制がない方が優先道路の場合【105】が多いので、あまり使うことはない印象です。
 双方車両の速度により過失割合が異なっています。

<別冊判例タイムズ38号>
交差点における直進車同士の出合い頭事故
交通整理の行われていない交差点における事故
   一方に一時停止の規制がある場合【104】
1 基本過失割合
(1)同程度の速度
   一時停止の規制なし20:一時停止の規制あり80
(2)一時停止の規制なし減速せず、一時停止の規制あり減速
   一時停止の規制なし30:一時停止の規制あり70
(3)一時停止の規制なし減速、一時停止の規制あり減速せず
   一時停止の規制なし10:一時停止の規制あり90
(4)一時停止規制あり車が一時停止後進入
   一時停止の規制なし40:一時停止の規制あり60
2 修正要素
双方車両ともに著しい過失(+10)、重過失(+20)
※大型車修正(5%程度)の可能性あり

<赤い本>
 【36】図に記載があり、別冊判例タイムズ38号とは、いくつかの相違点があります。
1 基本過失割合
(1)同程度の速度
   一時停止の規制なし20:一時停止の規制あり80
(2)一時停止の規制なし減速せず、一時停止の規制あり減速
   一時停止の規制なし30:一時停止の規制あり70
(3)一時停止の規制なし減速、一時停止の規制あり減速せず
   一時停止の規制なし10:一時停止の規制あり90
(4)一時停止の規制なし徐行、一時停止の規制あり減速せず
   一時停止の規制なし0:一時停止の規制あり100
(5)一時停止規制あり車が一時停止後進入
   一時停止の規制なし40:一時停止の規制あり60
2 修正要素
(1)一時停止規制なし車
 ア 著しい過失:+10(基本過失割合(1)(2)(5))
 イ 著しい過失:+15(基本過失割合(3)(4))
 ウ 重過失:+20(基本過失割合(1)(2)(5))
 エ 重過失:+25(基本過失割合(3)(4))
(2)一時停止規制あり車
 ア 大型車:+5
 イ 著しい過失:+10
 ウ 重過失:+15

投稿者: 小島法律事務所

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