2022.02.25更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「交通事故の過失割合」についての解説です。
 交通事故の過失割合については、通常、「別冊判例タイムズ38号」という書籍を使って判断しますが「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)」(いわゆる「赤い本」)にも、過失割合についての記載があります。
 この2冊は、交通事故事件を扱う弁護士なら誰でも持っているとは思いますが、過失割合についての記載が若干違う場合もあったり、どちらか一方にしか掲載のない事故態様もあります。
 今回は、車同士の事故のうち、交差点における青信号車と信号残り車の出合い頭事故を取り上げます。この事故態様については、別冊判例タイムズ38号には記載がなく、赤い本には記載があります。
青信号車の方が被害者側になっていますが、これは、青信号車にとって交差点を一瞥しただけで信号残り車を発見しにくい態様を想定しています。

<別冊判例タイムズ38号>
記載なし。

<赤い本>
【32】
1 基本過失割合
  青信号車30:信号残り車70
2 修正要素
(1)青信号車
 ア 著しい過失:+10
 イ 重過失:+20
(2)信号残り車
 ア 黄信号進入:+10
 イ 著しい過失:+5
 ウ 重過失:+10

投稿者: 小島法律事務所

2022.02.18更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「交通事故の土地管轄」の解説です。
 管轄は、土地管轄、事物管轄、職分管轄の3種類あります。今回は、土地管轄について説明します。
 土地管轄とは、全国各地にある裁判所のうち、地域に着目して当該事件を取り扱うことができる権限を有しているかの基準のことをいいます。
 土地管轄は、事件の性質に応じて、民事訴訟法に定められています。なお、土地管轄は、1つだけではないことがあります。
 土地管轄が複数ある場合には、訴訟を提起する者が、土地管轄を有する裁判所を選んで、訴訟を提起することができます。
 以下では、飯塚市在住のAさんが、直方市内で、信号停車中、田川市在住のBさんが運転する車に後ろから追突されて、怪我を負い、AさんがBさんに対して200万円の損害賠償請求を行っている場合を例に土地管轄を説明します。

 まず、民事訴訟法4条1項は、「訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する」と定めています。そして、同条2項は、「人の普通裁判籍は、住所により」「定まる」と定めています。
 したがって、当該交通事故の管轄としては、Bさんの住所地である田川市を管轄する福岡地方裁判所田川支部が管轄を有することになります。

 次に、交通事故に遭った場合、被害者は加害者に対して損害賠償請求訴訟を行います。損害賠償請求訴訟は、「財産権上の訴え」になります。そして、民事訴訟法5条1号は、財産権上の訴えについての管轄を「義務履行地」と定めています。この義務履行地とは債務者が債権者に対して弁済を行う場所のことであり、弁済を行う場所は、債権者の住所となります(民法484条1項)。
 したがって、損害賠償請求訴訟の場合、請求者が債権者となりますので、当該交通事故の管轄としては、請求者であるAさんの住所地である飯塚市を管轄する福岡地方裁判所飯塚支部が管轄を有することになります。

 最後に、交通事故は不法行為になりますので、交通事故に関する損害賠償請求訴訟は、「不法行為に関する訴え」にあたります。そして、民事訴訟法5条9号は、不法行為に関する訴えについての管轄を「不法行為があった地」と定めています。
 したがって、当該交通事故の管轄としては、交通事故が生じた場所である直方市を管轄する福岡地方裁判所直方支部が、管轄を有することになります。

投稿者: 小島法律事務所

2022.02.10更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による交通事故の慰謝料請求についての解説です。
 「慰謝料」という言葉を耳にしたことがある方は大勢いるでしょうし、「慰謝料を請求できる」「慰謝料を請求する」なんて表現はテレビやネットのニュースでよく見聞きします。
ただ、慰謝料というと、要するに精神的に傷ついたことの代償というわけですから、どうやったら金銭に換算できるのかが問題になります。
 この点、交通事故の場合は、慰謝料と言っても、傷害慰謝料(入通院慰謝料)、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種があり、それぞれ算定基準が異なっています(また、ややこしいことに算定基準自体いくつかあったり、地域によって違ったりもします。)。
 とはいえ、慰謝料の性質上、その算定は諸事情の総合考慮による必要があるでしょうから、「どんな事案でも基準に従って算定すればいい」とか「誰が計算しても同じ結果になる」というものでもないので、単にインターネットで入手した知識では正確な算定は困難です。
 また、裁判所の認定も、慰謝料については、どうしてその額になったのか説明不足な場合が多く、ときには釈然としない場合もあります。特に、控訴する場合には、原判決がなぜそのような算定に至ったかがわからないと、そもそも反論できないので、算定根拠は明確にしてもらいたいのですが、慰謝料の性質上、それは難しいということなのでしょう。
 これが交通事故以外だともっとややこしくなるんですが、さしあたり交通事故の基準が流用できそうな場合には、交通事故の基準によって算定することもよくあります。

投稿者: 小島法律事務所

2022.02.04更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による交通事故訴訟の解説です。

 交通事故の被害者が加害者(加害者側保険会社)から受領した治療費について、本来支払われるべきでないのに支払われてしまったという特殊な事情がある場合、加害者から被害者に対する不法行為に基づく損害賠償請求あるいは不当利得返還請求が認められることがあります。

 普通の事件と異なるのは、①実際に支払ったのは加害者側保険会社であると思われること、②(不当利得として処理する場合)支払先は医療機関であるにもかかわらず、利得したのは被害者であるとされることです。

 この点についての裁判例としては、①広島地裁平成29年2月28日判決(自保1997)、②名古屋高裁平成31年4月11日判決(自保2051)があります。

投稿者: 小島法律事務所

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