2024.11.21更新

 最近、青切符やヘルメットの装着など、自転車に関わる規制が増えています。今回は、飯塚市の弁護士が、「自転車運転で行いがちな道路交通法違反(ながらスマホ)」について解説します。

 目的地までのルートを探す際、グーグルマップなどの地図アプリを利用しているかと思います。そして、自転車を運転している際、目的地までのルート検索をするために、スマートフォンなどを使用したことのある方もいるかと思います。
 この自転車運転中のスマートフォンの操作については、道路交通法違反に問われる可能性があります。

 2024年11月1日に改正された道路交通法では、自転車を運転している際中に、スマートフォンを手に持って通話する行為や画面を注視しながら運転する行為(いわゆる、ながらスマホ)について、下記のとおり、罰則の対象としています(道路交通法第71条5号の5)。
(運転者の遵守事項)
第71条
「車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
(中略)
五の五 自動車、原動機付自転車又は自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百十八条第一項第四号において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第一項第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百十八条第一項第四号において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。
(以下省略)」

 地図アプリを利用するにあたっては、スマートフォンの画面を注視することになるので、自転車を運転している際中に、地図アプリを操作した場合には、道路交通法71条5号の5違反となる可能性があります。

 そして、道路交通法71条5号の5に違反した場合、6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金に科される可能性があります(第118条1項4号)。
第118条
「次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
(中略)
四 第七十一条(運転者の遵守事項)第五号の五の規定に違反して無線通話装置を通話のために使用し、又は自動車、原動機付自転車若しくは自転車に持ち込まれた画像表示用装置を手で保持してこれに表示された画像を注視した者(第百十七条の四第一項第二号に該当する者を除く。)
(以下省略)」

投稿者: 小島法律事務所

2024.11.01更新

 飯塚市の弁護士による「意外な道路交通法違反」についての解説です。

 ファミリーカーを利用している方の中には、次の事例のような経験をした方もいるかと思います。
 「子どもが寝坊し、登校時間に間に合いそうになかったため、車で子どもを学校へ送っていました。学校の校門の近くに停めるため、歩道に寄せて道路に停止しました。停止後、運転席側の後部座席に座っていた子どもに、「着いたよ」と言いて、ドアのロックを解除しました。子どもは、登校時間に遅れそうだったので、慌てながら、車の右側のスライドドアをかけて、車から飛び出しました。そうしたところ、当方車両の後方からは車が走ってきていたようで、その後続車に、急ブレーキを踏ませてしまいました。」

 この点、同乗者が後方の安全確認をせずに、車内から道路へ飛び出した場合、運転者が、以下のとおり、道路交通法71条第1項4号違反となる可能性があります。

(運転者の遵守事項)
第71条
「車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
(中略)
4の3  安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること。
(以下略)」
 当該条文のとおり、道路交通法は、「車両等の運転者」に対し、「その車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずる」義務を課しています。

 したがって、子どもが後方の安全確認をする前に、ドアのロックを解除した運転者は、道路交通法71条第1項4号違反となる可能性があります。

 そして、道路交通法71条第1項4号の3に違反した場合、5万円以下の罰金の処分を受ける可能性があります(第120条1項10号)。

第120条
「次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
(中略)
十 第七十一条(運転者の遵守事項)第一号、第四号から第五号まで、第五号の三、第五号の四若しくは第六号、第七十一条の二(自動車等の運転者の遵守事項)、第七十三条(妨害の禁止)(第七十五条の二十三(特定自動運行において交通事故があつた場合の措置)第六項において読み替えて準用する場合を含む。)、第七十六条(禁止行為)第四項又は第九十五条(免許証の携帯及び提示義務)第二項(第百七条の三(国際運転免許証等の携帯及び提示義務)後段において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
(以下省略)」

投稿者: 小島法律事務所

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