2024.07.26更新

 道路交通法上、夜間における自動車の走行については、ハイビームで走行することが基本となっています(道路交通法52条1項、2項)。
では、以下の事例におけるハイビームの使い方は、道路交通法に違反するでしょうか。

 夜間、片側1車線の道路を、ハイビームで直進中に、対向車線を自転車が自車に向かって直進していました。ロービームでは、自転車の姿が見えにくくなるため、車の運転者は、ハイビームのまま直進して、自転車とすれ違いました。
 この点、自転車とすれ違う際に、ハイビームからロービームにしなかった運転者は、道路交通法52条2項違反にあたる可能性があります。

第52条 
「車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
2 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。」

 ハイビームのまま自転車とすれ違ったことから、上記の「他の車両等の交通を妨げるおそれ」にあたるのかが問題となります。
 この点、「他の車両等の交通を妨げるおそれ」とは、前照灯の照度が強いため、これと行き違い又は先行する車両等の運転者がげん惑され、運転に支障をきたすおそれがあるときと解されています。
 そのため、上記事例では、ハイビームの強い光によって、対向車線を直進する自転車の運転者がげん惑されるおそれがあるため、道路交通法52条2項違反となる可能性があります。

 そして、道路交通法52条2項に違反した場合、5万円以下の罰金の処分を受ける可能性があります(第120条1項6号)。

投稿者: 小島法律事務所

2024.07.12更新

 最近、青切符やヘルメットの装着など、自転車に関わる規制が増えています。今回は、自転車運転で行いがちな道路交通法違反について解説します。

 「自転車を除く」補助標識がある歩行者用道路(例えば、商店街内の道路など)を、自転車で走行中、進行方向に歩行者がいました。歩行者の横を通り抜けることはできましたが、その歩行者と接触しないように、注意を促すため、ベルを鳴らしました。
注意を促すために、ベルを鳴らしたこの行為、実は、道路交通法に違反になる可能性があります。

 まず、「歩行者用道路」を通行する車両には、「特に歩行者に注意して徐行しなければならない」特別な義務を負っています(道路交通法9条)。そのため、徐行しない場合はもちろんのこと、徐行していてもわき見運転などにより歩行者に接触又はしそうになった場合には、同法の注意義務に違反となるおそれがあります。

 また、自転車のベル(警音器)は、「危険を防止するためやむを得ないとき」除き、鳴らしてはならないと規定しています(道路交通法54条2項)。

道路交通法第54条
(警音器の使用等)
「車両等(自転車以外の軽車両を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。
一 左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。
二 山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。
2 車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。」

 この点、「危険を防止するためやむを得ないとき」とは、「警音器(クラクション)を鳴らすほかに危険を防止することができない場合」と解されています。
 そのため、歩行者に自身の存在を気付かせるためにクラクションを鳴らすことは、自転車から降りて押して歩くなどで接触の危険を回避することができるので、「危険を防止するためやむを得ないとき」に該当せず、道路交通法54条2項違反になる可能性があります。

 そして、道路交通法54条2項に違反した場合、2万円以下の罰金又は科料に科される可能性があります(第121条1項9号)。

道路交通法第121条 
「次の各号のいずれかに該当する者は、二万円以下の罰金又は科料に処する。
一 …

九 第五十四条(警音器の使用等)第二項又は第五十五条(乗車又は積載の方法)第三項の規定に違反した者」

 

投稿者: 小島法律事務所

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