2024.03.22更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「自転車の反則金規制」についての解説です。

 警視庁は、令和4年10月31日から、自転車の悪質な交通違反に対する取り締まりを強化したことにより、「信号無視」「一時不停止」「右側通行」「徐行を行わない歩道の通行」の4つの違反については、特に悪質な場合、罰金など刑事処分の対象となる「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」(いわゆる「赤切符」)(交通切符)を交付されるようになりました(自動車の取り締まりの強化については、こちらのブログ記事をご確認ください)。
 もっとも、赤切符の対象は、違反行為の内、特に悪質なものに限定されていることから、赤切符が対象としていない違反行為は、特に刑事処罰等の対象とはなっていませんでした。
 この点、自転車運転上の違反行為について、令和6年3月5日に、政府は自転車の悪質な交通違反に対し、車やオートバイと同じように反則金を課す、いわゆる「青切符」による取締りの導入を盛り込む道路交通法の改正案を閣議決定しました。
 そして、青切符の規制は、16歳以上の自転車の運転者に適用され、違反の対象となる行為は、112の違反行為のうち、重大な事故につながるおそれのあるものです。具体的には、「信号無視」「一時不停止」「運転中の携帯電話の使用」「右側通行などの通行区分違反」などです。
なお、反則金についは、今後、政令で定められますが、5000円から1万2000円になることが予想されています。

投稿者: 小島法律事務所

2024.03.08更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「他の車両に追いつかれた車両の義務」についての解説です。

 間もなく春休みのシーズンに入ります。春休みになると、新生活に備えて、運転免許証を取得する方も多いかと思います。
 中でも、原動付自転車(以下「原付」といいます。)の運転免許証は16歳から取得できる上、原付は自動車より安価であることから、新生活に合わせて、原付を運転される方もいるかと思います。
 今回、その原付の運転に関する道路交通法についての解説です。

 以下のケースは、自動車を運転する方であれば、よく見かける光景かと思います。では、以下のケースにおいて、A君は、何らかの道路交通法違反になるでしょうか。

【ケース】
 制限速度50㎞の規制のある片側1車線の道路において、A君が、車線中央を時速30㎞で走行していたところ、A君の後方から時速50㎞で走行する普通乗用自動車がA君に追いつきました。
 しかし、A君は、後続車を気にすることもなく、そのままの速度で、車線中央を走行し続けました。
 そして、A君が道を譲らなかったことにしびれを切らした後続車は、中央線からはみ出て、A君を追い越しました。

 結論から申し上げますと、後続車に追いつかれたにも関わらず、譲ることもなく走行し続けたA君は、道路交通法27条第1項違反となる可能性があります。
 なお、道路交通法第27条2項における「最高速度」とは、法定の最高速度であり、現実の速度ではありません。また、原付自転車の法定の最高速度は時速30㎞です(道路交通法第22条第1項・同法施行令第11条)

(他の車両に追いつかれた車両の義務)
第27条2項 
「2 車両(乗合自動車及びトロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端。以下この項において同じ。)との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、第十八条第一項の規定にかかわらず、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。」

 また、同条違反は、「10万円以下の罰金」の処罰を受ける可能性(道路交通交通法120条第1項2号)があります。


第120条1項2号 
「次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 …
二 第二十五条(道路外に出る場合の方法)第三項、第二十六条(車間距離の保持)、第二十六条の二(進路の変更の禁止)第二項、第二十七条(他の車両に追いつかれた車両の義務)、第三十一条の二(乗合自動車の発進の保護)、第三十二条(割込み等の禁止)、第三十四条(左折又は右折)第六項(第三十五条(指定通行区分)第二項において準用する場合を含む。)、第三十六条(交差点における他の車両等との関係等)第一項、第三十七条(交差点における他の車両等との関係等)、第四十条(緊急自動車の優先)、第四十一条の二(消防用車両の優先等)第一項若しくは第二項又は第七十五条の六(本線車道に入る場合等における他の自動車との関係)の規定の違反となるような行為をした者(第二十六条の規定の違反となるような行為をした者にあつては、第百十九条第一項第四号に該当する者を除く。)
三…」

投稿者: 小島法律事務所

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