2024.10.18更新

 カーナビの代わりに、スマートフォンのアプリを利用して、運転している方も多いかとお思います。
 この点、スマートフォンを設置する場所について、三角窓やフロントガラス等に設置している方を見かけることがあります。
 しかし、このスマートフォンの設置場所によっては、道路交通法違反となる可能性があります。
 今回は、「スマートフォンの設置方法に関する注意すべき道路交通法上の義務」をご説明します。

 道路交通法62条は、「車両等の使用者その他車両等の整備に責任を有する者又は運転者」に対し、整備不良車両を運転させ、または、運転させることを禁止しています。

第62条
「車両等の使用者その他車両等の装置の整備について責任を有する者又は運転者は、その装置が道路運送車両法第三章若しくはこれに基づく命令の規定(同法の規定が適用されない自衛隊の使用する自動車については、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百十四条第二項の規定による防衛大臣の定め。以下同じ。)又は軌道法第十四条若しくはこれに基づく命令の規定に定めるところに適合しないため交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等(次条第一項及び第七十一条の四の二第二項第一号において「整備不良車両」という。)を運転させ、又は運転してはならない。」

 この点、整備不良かの判断については、道路運輸車両の保安基準が定められており、自動車の窓ガラスに関しては、その保安基準第29条に規定があります。

第29条
「自動車(最高速度二十五キロメートル毎時以下の自動車を除く。)の窓ガラスは、告示で定める基準に適合する安全ガラスでなければならない。ただし、衝突等により窓ガラスが損傷した場合において、当該ガラスの破片により乗車人員が傷害を受けるおそれの少ないものとして告示で定める場所に備えられたものにあつては、この限りでない。
2 自動車(最高速度四十キロメートル毎時未満の自動車を除く。)の前面ガラスは、損傷した場合においても運転者の視野を確保できるものであり、かつ、容易に貫通されないものとして、強度等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
3 自動車(被牽けん引自動車を除く。)の前面ガラス及び側面ガラス(告示で定める部分を除く。)は、運転者の視野を妨げないものとして、ひずみ、可視光線の透過率等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
4 前項に規定する窓ガラスには、次に掲げるもの以外のものが装着され、貼り付けられ、塗装され、又は刻印されていてはならない。
一    整備命令標章
一の二  臨時検査合格標章
二    検査標章
二の二  保安基準適合標章(中央点線のところから二つ折りとしたものに限る。)
三    自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)第九条の二第一項(同法第九条の四において準用する場合を含む。)又は第十条の二第一項の保険標章、共済標章又は保険・共済除外標章
四    道路交通法第六十三条第四項の標章
五    削除
六    前各号に掲げるもののほか、運転者の視野の確保に支障がないものとして告示で定めるもの
七    前各号に掲げるもののほか、国土交通大臣又は地方運輸局長が指定したもの」

 また、第29条4項7号で定める「運転者の視野の確保に支障がないものとして告示で定めるもの」については、告示(第39条)で、ルームミラー、ETCのアンテナ、テレビ・ラジオなどのアンテナ、ドライブレコーダー等は認められていますが、スマートフォンは認められていません。
 そのため、スマートフォンを三角窓やフロントガラスに設置した場合、道路交通法62条違反となる可能性があります。

 そして、道路交通法62条に違反した場合、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処される可能性があります(道路交通法119条2項2号)。

投稿者: 小島法律事務所

2024.10.04更新

違反しがちな道路交通法違反(自転車の一時停止)

 最近、免許更新で自転車と自動車との衝突事故に関する講習を受ける機会がありました。その講習において、自転車運転に関して違反しがちな道路交通法の説明を受けましたので、今回は、自転車運転に関する違反しがちな道路交通法「自転車の一時停止」について、解説します。
 自動車を運転している方からすると、交差点等では、「止まれ」や「一時停止」の道路標識をよく目にするかと思います。
 また、一時停止をせずに飛び出してくる自転車も少なくないことから、この一時停止の道路標識の指示について、自転車は一時停止をしなければならないのかと、疑問に思った方もいるかと思います。

 この点、一時停止の道路標識に従わず、一時停止をしなかった自転車運転者は、以下のとおり、道路交通法43条違反となります。
道路交通法43条
「車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。」

 当該条文のとおり、道路交通法は、「車両等」に対し、道路標識に従い、一時停止する義務を課しています。
 また、この「車両等」については、道路交通法2条第1項8号で、下記のとおり定められています。
道路交通法2条1項
「八 車両 自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。」

 そして、この「軽車両」については、道路交通法2条1項11号で、下記のとおり定められています。
道路交通法2条1項
「十一 軽車両 次に掲げるものであつて、移動用小型車、身体障害者用の車及び歩行補助車等以外のもの(遠隔操作(車から離れた場所から当該車に電気通信技術を用いて指令を与えることにより当該車の操作をすること(当該操作をする車に備えられた衝突を防止するために自動的に当該車の通行を制御する装置を使用する場合を含む。)をいう。以下同じ。)により通行させることができるものを除く。)をいう。
イ 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽けん引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含み、小児用の車(小児が用いる小型の車であつて、歩きながら用いるもの以外のものをいう。次号及び第三項第一号において同じ。)を除く。)
ロ 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、車体の大きさ及び構造を勘案してイに準ずるものとして内閣府令で定めるもの」

 したがって、一時停止の道路標識に従わず、一時停止をしなかった自転車運転者は、以下のとおり、道路交通法43条違反となります。

そして、道路交通法43条に違反した場合、3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金の処分を受ける可能性があります(第119条1項5号)。

第109条1項
「次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
五 第三十条(追越しを禁止する場所)、第三十三条(踏切の通過)第一項若しくは第二項、第三十八条(横断歩道等における歩行者等の優先)、第四十二条(徐行すべき場所)又は第四十三条(指定場所における一時停止)の規定の違反となるような行為をした者」

投稿者: 小島法律事務所

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