2020.09.29更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「LAC基準」についての解説です。

 交通事故が発生した場合には、被害者は自身の契約している損害保険会社(以下「損保」といいます)の保険商品である弁護士保険(弁護士費用特約)を利用することにより、弁護士費用を保険で賄うことができます。その場合には、弁護士を無料で利用することができます。

 その弁護士費用について、日弁連リーガル・アクセス・センター(LAC)が損保と協議のうえで予め定めている保険金支払基準のことをLAC基準といいます。

 この基準を定めることにより、損保から弁護士に支払われる費用の統一化・明確化が図られますから、交通事故の被害者と弁護士との契約もスムーズに行えるようになります。なお、支払基準の詳細は、LACが発行している通称「LACマニュアル」に記載されています。

 多くの損保・共済は、弁護士保険の支払基準について、LACと協定を結んでいます。協定を結ぶことで、その損保・共済及び契約弁護士は、それぞれLAC基準を尊重する必要が生じます。2019年7月1日現在で協定を結んでいる大手の損保・共済は以下のとおりです。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
AIG損害保険株式会社
au損害保険株式会社
共栄火災海上保険株式会社
セゾン自動車火災保険株式会社
ソニー損害保険株式会社
損害保険ジャパン日本興亜株式会社
大同火災海上保険株式会社
チャブ損害保険株式会社
チューリッヒ保険会社
フェリクス少額短期保険株式会社
プリベント少額短期保険株式会社
三井住友海上火災保険株式会社
三井ダイレクト損害保険株式会社
楽天損害保険株式会社
JA共済連
全国自動車共済連
全労災
中小企業福祉共済協同組合連合会

 他方で、例えば以下の大手損保はLACと協定を結んでいません。

アクサ損害保険株式会社
イーデザイン損害保険株式会社
SBI保険株式会社
東京海上日動火災保険株式会社

 これらLACと未協定の損保は、保険商品として弁護士保険を取り扱っていないというわけではなく、LAC基準によらない自社独自の支払基準を設けています。 とはいえ、詳細はそれぞれ異なる部分はあるものの、独自の支払基準といってもLAC基準と重複している部分も多くあり、LAC基準とそれほど乖離しているというわけでもありません。

投稿者: 小島法律事務所

2020.09.10更新

 飯塚市の小島法律事務所から、弁護士による「あおり運転に関する罰則の新設」についての解説です。

 以前から進められていた「あおり運転」の処罰規定の創設が盛り込まれた道路交通法の改正法が、令和2年6月30日に施行されました。

 改正前の道路交通法では、あおり運転について直接に禁止する規定はなく、急ブレーキ禁止義務違反(24条)車間保持義務違反(26条)、安全運転義務違反(70条)など、個別の道路交通違反の適用されてきました。しかし、それだけでは社会問題化しているあおり運転に対応できないことから、今回の改正に繋がりました。

 改正法では、あおり運転は、「他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法・・」(道路交通法117条の2の2第11号)による運転であると定義されました。

 このうちの「次のいずれかに掲げる行為」とは、急ブレーキをかけたり、必要もないのに車間を詰めたり、割り込みを行ったり、クラクションを何度も鳴らしたりするなどの10項目が対象です(同11号イ~ヌ)。なお、この「次のいずれかに掲げる行為」には、安全運転義務違反(同法70条)も含まれていますから、他の車両に危険を生じさせるような行為は、広く対象になりえます。 

 このようなあおり運転を行った者には、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。これは、酒気帯び運転と同じ罰則です。

 また、高速道路などであおり運転を行い、相手を停車させるなどの交通の危険性が著しく高い行為を行った場合には、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に科せられ(同法117条の2第6号)、さらに免許の取消処分を受けることもありえます(103条2項3号)。これは、酒酔運転と同じ罰則です。 

 このほか、あおり運転に関しては新たに交通違反点数制度の対象となっており、通常のあおり運転では25点、高速道路等での危険性の高いものでは35点の違反点数が課されることがあります。これは、今まで無事故無違反であったとしても、免許取消のうえ、数年間の運転免許の再取得が制限されるほど重い処分です。

 ちなみに、この改正道路交通法の施行後、大分県で8月、あおり運転に関する初の逮捕者も出ており、あおり運転には今後、厳しい取り締まりがされていくものだと考えられます。

投稿者: 小島法律事務所

判例のご紹介 交通事故に遭ってからのご相談の流れ
弁護士に相談するメリット 交通事故の相談に対する6つの安心
弁護士費用について 事務所紹介 オフィシャルサイト