2020.09.10更新

 飯塚市の小島法律事務所から、弁護士による「あおり運転に関する罰則の新設」についての解説です。

 以前から進められていた「あおり運転」の処罰規定の創設が盛り込まれた道路交通法の改正法が、令和2年6月30日に施行されました。

 改正前の道路交通法では、あおり運転について直接に禁止する規定はなく、急ブレーキ禁止義務違反(24条)車間保持義務違反(26条)、安全運転義務違反(70条)など、個別の道路交通違反の適用されてきました。しかし、それだけでは社会問題化しているあおり運転に対応できないことから、今回の改正に繋がりました。

 改正法では、あおり運転は、「他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法・・」(道路交通法117条の2の2第11号)による運転であると定義されました。

 このうちの「次のいずれかに掲げる行為」とは、急ブレーキをかけたり、必要もないのに車間を詰めたり、割り込みを行ったり、クラクションを何度も鳴らしたりするなどの10項目が対象です(同11号イ~ヌ)。なお、この「次のいずれかに掲げる行為」には、安全運転義務違反(同法70条)も含まれていますから、他の車両に危険を生じさせるような行為は、広く対象になりえます。 

 このようなあおり運転を行った者には、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。これは、酒気帯び運転と同じ罰則です。

 また、高速道路などであおり運転を行い、相手を停車させるなどの交通の危険性が著しく高い行為を行った場合には、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に科せられ(同法117条の2第6号)、さらに免許の取消処分を受けることもありえます(103条2項3号)。これは、酒酔運転と同じ罰則です。 

 このほか、あおり運転に関しては新たに交通違反点数制度の対象となっており、通常のあおり運転では25点、高速道路等での危険性の高いものでは35点の違反点数が課されることがあります。これは、今まで無事故無違反であったとしても、免許取消のうえ、数年間の運転免許の再取得が制限されるほど重い処分です。

 ちなみに、この改正道路交通法の施行後、大分県で8月、あおり運転に関する初の逮捕者も出ており、あおり運転には今後、厳しい取り締まりがされていくものだと考えられます。

投稿者: 小島法律事務所

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