飯塚市の弁護士による「意外な道路交通法違反」についての解説です。
ファミリーカーを利用している方の中には、次の事例のような経験をした方もいるかと思います。
「子どもが寝坊し、登校時間に間に合いそうになかったため、車で子どもを学校へ送っていました。学校の校門の近くに停めるため、歩道に寄せて道路に停止しました。停止後、運転席側の後部座席に座っていた子どもに、「着いたよ」と言いて、ドアのロックを解除しました。子どもは、登校時間に遅れそうだったので、慌てながら、車の右側のスライドドアをかけて、車から飛び出しました。そうしたところ、当方車両の後方からは車が走ってきていたようで、その後続車に、急ブレーキを踏ませてしまいました。」
この点、同乗者が後方の安全確認をせずに、車内から道路へ飛び出した場合、運転者が、以下のとおり、道路交通法71条第1項4号違反となる可能性があります。
(運転者の遵守事項)
第71条
「車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
(中略)
4の3 安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること。
(以下略)」
当該条文のとおり、道路交通法は、「車両等の運転者」に対し、「その車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずる」義務を課しています。
したがって、子どもが後方の安全確認をする前に、ドアのロックを解除した運転者は、道路交通法71条第1項4号違反となる可能性があります。
そして、道路交通法71条第1項4号の3に違反した場合、5万円以下の罰金の処分を受ける可能性があります(第120条1項10号)。
第120条
「次の各号のいずれかに該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
(中略)
十 第七十一条(運転者の遵守事項)第一号、第四号から第五号まで、第五号の三、第五号の四若しくは第六号、第七十一条の二(自動車等の運転者の遵守事項)、第七十三条(妨害の禁止)(第七十五条の二十三(特定自動運行において交通事故があつた場合の措置)第六項において読み替えて準用する場合を含む。)、第七十六条(禁止行為)第四項又は第九十五条(免許証の携帯及び提示義務)第二項(第百七条の三(国際運転免許証等の携帯及び提示義務)後段において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
(以下省略)」