2023.01.13更新

 今まで児童又は幼児を対象として、ヘルメットの着用を努力義務としていましたが、道路交通法の一部改正(令和4年4月27日公布、令和5年4月1日施行)により、全ての自転車利用者が対象となります。

(道路交通法第63条の11)
〇改正前
【児童又は幼児の保護する責任のある者の遵守事項】
「児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児を自転車に乗車させるときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。」

〇改正後
【自転車の運転者等の遵守事項】
「1 自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
2 自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
3 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。」

 この点、ヘルメットの着用義務は、努力義務であり、同義務違反に対しては、罰則はありません。
 もっとも、努力義務とはいえ、ヘルメットの着用義務が明文化されたことにより、交通事故を原因とした損害賠償請求の際に、ヘルメットの不使用は、過失相殺の対象となる可能性があります。

投稿者: 小島法律事務所

2023.01.04更新

飯塚市の小島法律事務所より、新年のごあいさつを申し上げます。

 新年あけましておめでとうございます。

 旧年中は格別のご厚情を賜り、誠にありがとうございました。

 当事務所は福岡県飯塚市にある「あいタウン」に開業してから10年目を迎えます(なお、弁護士登録からは13年目となります。)。

 開設以来、飯塚市はもちろん、田川市、直方市などの筑豊地域を中心に、交通事故案件、離婚案件、倒産案件を始めとする数多くのご相談を受け、交渉、訴訟等の案件を数多く解決してまいりました。

 これからも、飯塚市、田川市、直方市など、筑豊地域の皆様を中心にしたお客様のご期待に応えることができるよう、弁護士、事務職員一同引き続き、日々精進する所存ですので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

小島法律事務所

所長弁護士 小島邦夫

投稿者: 小島法律事務所

2022.12.02更新

 車を運転している方は、一灯点滅信号機(いわゆる、点滅信号機のことです。「以下、点滅信号機」といいます。)を、一度は目にしたことがあるかと思います。
 この点滅信号機、実は、福岡県が発祥の地であることを、最近知りました。
 そこで、この点信号機に関する出来事について、お伝えしようと思います。

 この点滅信号機による規制に関しては、道路交通法施行令第2条で、「赤色の灯火の点滅」は「歩行者は、他の交通に注意して進行することができること。」「車両等は、停止位置において一時停止しなければならないこと。」と、「黄色の灯火の点滅」は「歩行者及び車両等は、他の交通に注意して進行することができること。」と定められています。
 そのため、点滅信号機による交通整理が行われている交差道路では、赤色点滅側の道路を走行する車両は、必ず、一時停止をしなければならず、黄色点滅側の道路を走行する車両は、交通状況に注意して進行しなければなりません。

 しかし、点滅信号機の設置数は、都道府県によってばらつきがあることから、設置数が少ない都道府県においては、点滅信号機の意味を忘れていたり、知らなかったりしたことが原因で、事故が生じることもあります。

 そこで、警察庁は、2015年12月に、不要と見られる点滅信号機を撤去し、一時停止標識などによる規制に変更することを検討するように、都道府県警に通達しています。
 これにより、2016年春までに全国で5904基あった点滅信号機は、2020年までにその2割以上が撤去されています。なお、現在も、点滅信号機の撤去は進んでいます。

投稿者: 小島法律事務所

2022.11.25更新

平素は、格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、誠に勝手ながら、当事務所では下記の期間、年末年始の休業といたします。

 令和4年12月28日(水)~令和5年1月3日(火)

 通常業務は、令和5年1月4日(水)より再開いたします。

 お客様にはご不便をおかけいたしますが、なにとぞご寛容くださいますよう、お願い申し上げます。

 来年も、本年同様、お客様にご満足いただけるリーガルサービスの提供を目指し、一層努力してまいります。

 今後とも、変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

投稿者: 小島法律事務所

2022.11.07更新

 私事ですが、先日、人生で初めて、交通事故に遭い、怪我をしました。警察に人身事故の届出をする際、交通事故における行政処分が気になり、今回、調べてみることにしました。

 交通事故における「行政処分」とは、公安委員会による行政上の処分のことをいいます。そして、行政上の処分は、違反点数による処分(免許停止・免許取消しなど)です(道路交通法103条)。

 交通事故の違反点数は、違反行為ごとに定められた「基礎点数」(道路交通法施行令別表第二の一及び二)と、被害の程度などで定められた「付加点数」(道路交通法施行令別表第二の三)を、合計した点数です。そして、「基礎点数」は、危険性の低い「一般違反行為」と、危険性・悪質性の高い「特定違反行為」の2つに分けて定められています。
 なお、違反点数は下記のとおりです。

ひょうひょうひょう

 そして、過去3年以内の前歴(免許停止・免許取消し等)の回数に応じて、累積点数に応じた行政上の処分(免許停止・免許取消し)が、定められています(道路交通法103条)。
 また、免許取消しの処分が下された場合、一定期間免許を取得することができません(道路交通法103条7項・8項、道路交通法施行令別表Ⅲ。なお、この期間を「欠格期間」といいます。)
 まとめたものが、以下の表です。(参照:警視庁ホームページ「行政処分基準点数」)

ひょう

投稿者: 小島法律事務所

2022.10.28更新

 民法改正により、時効の停止、中断というわかりにくかった用語が、改正されました。
 「停止」とは、停止事由が存在した場合に、その時点から時効の進行がストップするものです。また、「中断」とは、中断事由が存在した場合に、その時点から時効が一度ゼロになり、新たに時効が開始するものです。
そして、当該民法改正により、「停止」が「完成の猶予」に、「中断」が「更新」と改められました。

 また、時効の完成猶予及び更新については、用語の改正以外にも、特に次の点で大きな改正があります。

 更新事由として、確定判決・確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定された場合があります(改正民法147条2項)。そして、「確定判決・確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定された場合」には、民事調停及び家事調停も含まれます。

 旧民法が適用されていたときは、民事調停を行い、調停不成立となった場合には、不成立の日から1カ月以内に訴訟を提起しなければ、時効の更新(中断)の効力が生じませんでした(旧民法151条)。

旧民法151条
「和解の申立て又は民事調停法若しくは家事事件手続法による調停の申立ては、相手方が出頭せず、又は和解若しくは調停が調わないときは、1ヵ月以内に訴えを提起しなければ、時効の中断の効力を生じない。」

 この点、民法改正により、提訴までの期間が、1カ月から6カ月へ改正されました(改正民法147条1項)。
 そのため、訴訟において消滅時効の援用を行うにあたって、訴訟前に民事調停が行われていた場合には、上記期間が経過しているか特に注意が必要です。

改正民法147条
「1 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第275条第1項の和解又は民事調停法若しくは家事事件手続法による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。」

 もっとも、改正民法の適用範囲は、民事調停及び家事調停だけですので、他の制度を利用する場合には、当該制度を利用することによって、時効の完成猶予や更新の効果があるか注意が必要です。
 この点、民事調停に似た制度として、認証ADR機関へのADR申立てがあります。
 このADRとは、裁判外紛争解決のことをいいます。損害賠償請求と関連するADRとしては、各地の弁護士会が主宰する仲裁や紛争解決手続、交通事故紛争処理センター(交通事故ADR)などが挙げられます。
 そして、このADRの申立てにも時効の完成猶予の効果があります。具体的には、ADRで和解が成立しなくても、ADR手続きの終了の通知を受けた日から1か月以内に訴訟提起をすれば、ADRの申立ての時点で「裁判上の請求」があったものとみなされます(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律25条1項)。

第25条1項
「認証紛争解決手続によっては紛争の当事者間に和解が成立する見込みがないことを理由に手続実施者が当該認証紛争解決手続を終了した場合において、当該認証紛争解決手続の実施の依頼をした当該紛争の当事者がその旨の通知を受けた日から一月以内に当該認証紛争解決手続の目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予に関しては、当該認証紛争解決手続における請求の時に、訴えの提起があったものとみなす。」

投稿者: 小島法律事務所

2022.10.09更新

 交通事故に遭った後、車の損傷が軽微などの理由で、警察を呼ばず、事故当事者同士での話し合いで解決しようとする方もいるかと思います。
事故に遭ったにもかかわらず、警察を呼ばなかった場合、以下のような不利益・不都合な事態に陥ることがあります。

①刑事罰が科される可能性があること
 交通事故に遭った場合に、警察へ報告することは、道路交通法上の義務です(道路交通法72条1項後段)。
第七十二条 
『交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。』
そして、交通事故にあったにもかかわらず、警察へ報告しなかった場合、刑事罰が科される可能性があります。
第百十九条 
『次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
 …
十 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項後段に規定する報告をしなかつた者』

②交通事故証明書が発行されないこと
 交通事故証明書とは、自動車安全運転センター法の定めにより、自動車安全運転センターが、警察から提供された証明資料に基づき、交通事故の事実を確認したことを証明する書面です。
 そのため、警察へ交通事故の報告を行わなかった場合、当然、交通事故証明書は作成されません。

 そして、事故当日は自分の非を認めていた加害者が、後日、事故の存在自体を否定した場合、交通事故証明書がないと、事故が発生したことを証明することが困難となります。
 また、任意保険会社からの保険金の支払は、多くの場合、交通事故証明書の作成が前提であることから、スムーズな保険金の支払が行われない可能性があります。

投稿者: 小島法律事務所

2022.09.23更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による交通事故の過失割合についての解説です。
今回は、車同士の事故のうち、交差点における黄信号車と赤信号車の出合い頭事故を取り上げます。この事故態様の基本過失割合は、行為の危険性の大小を比較して黄信号車20:赤信号車80となります。
 実際には、黄信号車の対面信号が、交差点進入時に青信号か黄信号か、それとも赤信号かが問題になります。

<別冊判例タイムズ38号>
 交差点における直進車同士の出合い頭事故
 信号機により交通整理の行われている交差点における事故
   黄信号車と赤信号車との事故【99】
1 基本過失割合
  20:80
2 修正要素
(1)黄信号車
 ア 赤信号直前の進入:+10
 イ 衝突時相手の信号が青:+20
 ウ 著しい過失:+10
エ 重過失:+15
(2)赤信号車
 ア 著しい過失:-5
 イ 重過失:-10

<赤い本>
 【30】別冊判例タイムズ38号と同様の記載があります。

投稿者: 小島法律事務所

2022.08.05更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「最近の交通事故事件の特徴」についての解説です。


 かつては、過払金返還請求訴訟(不当利得返還請求)が多数提起されていましたが、過払金返還請求訴訟が減ったことにより訴訟の件数が減っているにもかかわらず、交通事故訴訟の件数については、むしろ増加しているような印象を受けます。もし増加しているとすれば、それは、弁護士費用特約が普及することにより、交渉、訴訟ともに弁護士に対して委任することが容易になっていることが原因だと思います。

 また、弁護士費用特約を用いた場合、いわゆるタイムチャージ契約が可能なせいか、事案の終了まで長期間を要する事件も増えた印象です。

 とはいえ、交通事故事件は専門的な知識を必要とする分野なので、どの弁護士に任せても同じような結果になるとは到底思えません。できる限り信頼できる弁護士に相談していただきたいと思います。

投稿者: 小島法律事務所

2022.07.29更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による『アルコールチェックの義務化』の解説です。

 令和3年11月10日に、「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令」が公布されたことにより、令和4年4月1日から、安全運転管理者が、業務として運転しようとする者及び運転を終了した者に対し、飲酒の有無を確認することを、以下のとおり、義務付けられました。

【安全運転管理者について】
 安全運転管理者とは、一定台数以上の自動車を使用する事業所において、使用者の代務者として、自動車の安全な運転に必要な業務を行う者のことです。
 そして、以下の場合、使用者には、使用している本拠ごとに、「安全運転管理者」及び安全運転管理者の業務の補助を行う「副安全運転管理者」を選任することが、義務付けられています(道路交通法第74条の3第1項、第4項)。

道路交通法第74条の3
「自動車の使用者(道路運送法の規定による自動車運送事業者(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)の規定による貨物軽自動車運送事業を経営する者を除く。以下同じ。)及び貨物利用運送事業法の規定による第二種貨物利用運送事業を経営する者を除く。以下この条において同じ。)は、内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに、年齢、自動車の運転の管理の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、次項の業務を行う者として、安全運転管理者を選任しなければならない。
2・3(略)
4 自動車の使用者は、安全運転管理者の業務を補助させるため、内閣府令で定める台数以上の自動車を使用する本拠ごとに、年齢、自動車の運転の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、内閣府令で定めるところにより、副安全運転管理者を選任しなければならない。」

 なお、内閣府令で定める台数は、以下のとおりです。

安全運転管理者(道路交通法施行規則第9条の8)
「法第七十四条の三第一項の内閣府令で定める台数は、乗車定員が十一人以上の自動車にあつては一台、その他の自動車にあつては五台とする。
2 法第七十四条の三第四項の内閣府令で定める台数は、二十台とする。
3 前二項及び第九条の十一の台数を計算する場合においては、大型自動二輪車一台又は普通自動二輪車一台は、それぞれ〇・五台として計算するものとする。」

副安全運転管理者(道路交通法施行規則第9条の11)
「法第七十四条の三第四項の規定による選任は、次の表の上欄に掲げる自動車の台数に応じ、同表の下欄に掲げる人数以上の副安全運転管理者を選任して行うものとする。
自動車の台数 人数
二十台以上四十台未満 一人
四十台以上 一人に四十台以上二十台までを超えるごとに一人を加算して得た人数

 なお、安全運転管理者や副安全運転管理者を選任しなかった場合、使用者は、「5万円以下の罰金」の罰則となります(道路交通法120条11の3号)。

【確認義務】
 運転者への飲酒の有無の確認について、安全運転管理者に課された義務の内容は、以下の通りです。

道路交通法施行規則
(安全運転管理者の業務)
第九条の十 法第七十四条の三第二項の内閣府令で定める業務は、次に掲げるとおりとする。
一~五(略)
六 運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認すること。
七 前号の規定による確認の内容を記録し、及びその記録を一年間保存すること。
八・九(略)

 このように、令和4年4月1日以降は、運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認し、その内容を記録し、保存しなければなりません。
 なお、「目視等で確認」とは、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子等で確認することをいいます。

投稿者: 小島法律事務所

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