2022.10.09更新

 交通事故に遭った後、車の損傷が軽微などの理由で、警察を呼ばず、事故当事者同士での話し合いで解決しようとする方もいるかと思います。
事故に遭ったにもかかわらず、警察を呼ばなかった場合、以下のような不利益・不都合な事態に陥ることがあります。

①刑事罰が科される可能性があること
 交通事故に遭った場合に、警察へ報告することは、道路交通法上の義務です(道路交通法72条1項後段)。
第七十二条 
『交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。』
そして、交通事故にあったにもかかわらず、警察へ報告しなかった場合、刑事罰が科される可能性があります。
第百十九条 
『次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
 …
十 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項後段に規定する報告をしなかつた者』

②交通事故証明書が発行されないこと
 交通事故証明書とは、自動車安全運転センター法の定めにより、自動車安全運転センターが、警察から提供された証明資料に基づき、交通事故の事実を確認したことを証明する書面です。
 そのため、警察へ交通事故の報告を行わなかった場合、当然、交通事故証明書は作成されません。

 そして、事故当日は自分の非を認めていた加害者が、後日、事故の存在自体を否定した場合、交通事故証明書がないと、事故が発生したことを証明することが困難となります。
 また、任意保険会社からの保険金の支払は、多くの場合、交通事故証明書の作成が前提であることから、スムーズな保険金の支払が行われない可能性があります。

投稿者: 小島法律事務所

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