2019.12.06更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「パトカーの追跡行為と事故の発生の責任」についての解説です。 

 今年の10月13日未明、飯塚市で、スピード違反を理由にパトカーから追跡を受け逃走していた乗用車が、他の走行していた自動車に衝突し、その車に乗っていた女性がけがをするという事件が発生しました。事故の原因は調査中とのことです。

 この点、事故原因は調査中ではありますが、逃走車両を運転していた人に民法上、自賠法上の損害賠償責任があることはあきらかだと思います。しかし、警察から逃走を図るような乗用車の場合、保険を使えない場合や、そもそも盗難車であったなどの事情で、裁判等で損害賠償請求が認められるとしても、実際に回収できないケースも考えられます。

 では、そのような場合に、逃走車を追跡していたパトカーに対して、何らかの責任追及ができる可能性はあるのでしょうか。 

 この点については、最高裁昭和61年2月27日判決(民集40巻1号124頁)が参考になります。この事件は、冒頭の飯塚市の事件と同様、パトカーから追跡を受けた被疑車両が、他の車両に衝突したため、衝突された被害者が、パトカーの追跡が違法であったとして県を相手に損害賠償を提起したという事件です。

 その事件において最高裁は、パトカーの追跡が違法であるというためには、「右追跡が当該職務目的を遂行する上で不必要であるか、又は逃走車両の逃走の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無及び内容に照らし、追跡の開始・継続若しくは追跡の方法が不相当であることを要するものと解すべきである」と判示しました。

 要するに、パトカーの追跡が、不必要・不相当であるような事情がある場合には、当該追跡が違法となり、損害賠償責任を負うことがありうるということです。

 よって、最高裁判決に照らすと、冒頭の飯塚市の事件のようなケースでは、パトカーの追跡が不必要・不相当といった事情がなければ、県警察の責任主体である県に対する責任追及は、難しいと言えるでしょう。

 ちなみに、県を相手にした訴訟を起こす場合には、国家賠償請求を提起する必要があります。

 

投稿者: 小島法律事務所

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