2022.05.27更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による交通事故訴訟の解説です。
 交通事故の被害者が加害者(加害者側保険会社)から受領した治療費について、本来支払われるべきでないのに支払われてしまったという特殊な事情がある場合、加害者から被害者に対する不法行為に基づく損害賠償請求あるいは不当利得返還請求が認められることがあります。
 普通の事件と異なるのは、①実際に支払ったのは加害者側保険会社であると思われること、②(不当利得として処理する場合)支払先は医療機関であるにもかかわらず、利得したのは被害者であるとされることです。
 この点についての裁判例としては、①広島地裁平成29年2月28日判決(自保1997)、②名古屋高裁平成31年4月11日判決(自保2051)があります。

投稿者: 小島法律事務所

2022.05.20更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「バックカメラ等の搭載義務化」についての解説です。 

 道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令が、令和3年6月9日に施行され、道路運送車両法に以下の保安基準が新設されました。
 なお、「後退時車両直後確認装置」とは、いわゆるバックカメラや後方検知システムのことです。

(後退時車両直後確認装置)
第44条の2
「自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車、被牽けん引自動車並びに後退時車両直後確認装置を備えることができないものとして告示で定める自動車を除く。)には、後退時に運転者が運転席において当該自動車の直後の状況を確認できるものとして、運転者の視野に係る性能等に関し告示で定める基準に適合する後退時車両直後確認装置を備えなければならない。ただし、後退時に運転者が運転者席において当該自動車の直後の状況を直接確認できる構造を有するものとして告示で定める自動車にあつては、この限りでない。」

 このように、道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令が令和3年6月9日に施行されたことにより、車両にバックカメラや後方検知システムを搭載することが義務化されました。
 なお、法令の適用対象は、令和4年5月以降に製造・販売される未登録の新型モデルです。
 そのため、現在使用している車両にバックカメラや後方検知システムが搭載されていないかったとしても、法令違反となるわけではありません。

投稿者: 小島法律事務所

2022.05.13更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による交通事故の過失割合についての解説です。
 今回は、車同士の事故のうち、信号機により交通整理の行われていない交差点における出合い頭事故(一方に一時停止の規制がある場合)を取り上げます。
一時停止規制がある場合、一時停止規制がない方が優先道路の場合【105】が多いので、あまり使うことはない印象です。
 双方車両の速度により過失割合が異なっています。

<別冊判例タイムズ38号>
交差点における直進車同士の出合い頭事故
交通整理の行われていない交差点における事故
   一方に一時停止の規制がある場合【104】
1 基本過失割合
(1)同程度の速度
   一時停止の規制なし20:一時停止の規制あり80
(2)一時停止の規制なし減速せず、一時停止の規制あり減速
   一時停止の規制なし30:一時停止の規制あり70
(3)一時停止の規制なし減速、一時停止の規制あり減速せず
   一時停止の規制なし10:一時停止の規制あり90
(4)一時停止規制あり車が一時停止後進入
   一時停止の規制なし40:一時停止の規制あり60
2 修正要素
双方車両ともに著しい過失(+10)、重過失(+20)
※大型車修正(5%程度)の可能性あり

<赤い本>
 【36】図に記載があり、別冊判例タイムズ38号とは、いくつかの相違点があります。
1 基本過失割合
(1)同程度の速度
   一時停止の規制なし20:一時停止の規制あり80
(2)一時停止の規制なし減速せず、一時停止の規制あり減速
   一時停止の規制なし30:一時停止の規制あり70
(3)一時停止の規制なし減速、一時停止の規制あり減速せず
   一時停止の規制なし10:一時停止の規制あり90
(4)一時停止の規制なし徐行、一時停止の規制あり減速せず
   一時停止の規制なし0:一時停止の規制あり100
(5)一時停止規制あり車が一時停止後進入
   一時停止の規制なし40:一時停止の規制あり60
2 修正要素
(1)一時停止規制なし車
 ア 著しい過失:+10(基本過失割合(1)(2)(5))
 イ 著しい過失:+15(基本過失割合(3)(4))
 ウ 重過失:+20(基本過失割合(1)(2)(5))
 エ 重過失:+25(基本過失割合(3)(4))
(2)一時停止規制あり車
 ア 大型車:+5
 イ 著しい過失:+10
 ウ 重過失:+15

投稿者: 小島法律事務所

判例のご紹介 交通事故に遭ってからのご相談の流れ
弁護士に相談するメリット 交通事故の相談に対する6つの安心
弁護士費用について 事務所紹介 オフィシャルサイト