2015.06.05更新

自動車と自転車が正面衝突し、自転車の運転者が死亡した事案の過失割合において、①自転車が逆行していたこと、②自転車が蛇行していたこと、③深夜1時20分ころの交通事故であるにもかかわらず、自転車が無灯火であったこと、④血中アルコール濃度が高かったことから、自転車の運転者の過失を6割としました(横浜地方裁判所平成25年10月28日判決・自動車保険ジャーナル1911号178頁)。

<弁護士のコメント>

自転車が右側通行していた場合、「別冊判例タイムズ38号」【303】図によると、基本過失割合は自転車20:自動車80となります。本件では自転車側の不利な修正要素として「ふらふら走行」「著しい過失」がありますから、同書に従った場合も自転車40:自動車60となります。

<争点>

・過失割合(自動車VS自転車)・葬儀費用

投稿者: 小島法律事務所

2015.06.04更新

神奈川県在住の原告が通院していた栃木県の整骨院の通院交通費について、同時に他の接骨院でも施術を受けていたことや、遠方の通院先を選択したことに特別な事情が認められないとして、相当因果関係を否定されました(横浜地方裁判所平成25年10月17日判決・自動車保険ジャーナル1911号167頁)。

<弁護士のコメント>

本件では、治療費について被告が争わず、通院交通費について争っています。本件のように、遠方への通院交通費が認められる場合としては、当該傷病の権威の医師の治療を受けるなどの特別な事情が必要になると考えられます。また、通院交通費についてはタクシー代の是非についても争われ、タクシーを利用する必要性を認めるに足らないとされました。

<争点>

・通院交通費

・治療費(施術費)

・過失相殺(損害拡大防止義務)

・車両損害(全損)

投稿者: 小島法律事務所

2015.06.03更新

交通事故の被害者が示談成立後に新たな後遺障害(高次脳機能障害)が判明したとして、示談の無効を求めた事案において、裁判所は、本件事故による高次脳機能障害の発症を否認し、原告の請求を棄却しました(名古屋地方裁判所平成25年9月19日判決・自動車保険ジャーナル1911号・155頁)。

<弁護士のコメント>

原告は、事故直後には高次脳機能障害が発症していなかったのではなく、発症していたが気が付かなかったのだと主張しています。たしかに、高次脳機能障害は気づかれにくく、それゆえに家族からの聞き取りが重要になるという特徴があります。もっとも、①脳挫傷の存在が明確ではない、②脳萎縮の有無も明確ではない、③症状の推移が高次脳機能障害の場合と異なることを理由に、仮に高次脳機能障害を発症していたとしても、本件事故以外の原因に考える余地が大きいとしました。つまり、脳外傷による高次脳機能障害の要件を充足していなかったといえます。

<争点>

・示談書の効力

・高次脳機能障害

投稿者: 小島法律事務所

2015.06.03更新

自転車を押しながら歩道を歩行中の男性が対向してきた自転車に衝突された事案について、被告自転車が前方の見通しが悪い急な下り坂において目線を下に向けながら速度の調節もせずに時速20キロメートル程度で進行していたことを重視して、歩行者の損害について過失相殺を認めませんでした。また、後遺障害逸失利益(首、顔等のしびれ)については、痛みを裏付ける他覚的所見がないことを理由に12級13号の主張を認めず、14級9号と認定しました。また、労働能力喪失期間を5年に限定しています(大阪地方裁判所平成25年8月30日判決・自動車保険ジャーナル1911号140頁)。

<弁護士のコメント>

本件は自転車と歩行者の正面衝突の事案における過失割合が問題になりました。歩道における対向自転車と歩行者の衝突事故においては、過半数の事案において歩行者の過失が認定されていないとされています(「自転車事故過失相殺の分析」(ぎょうせい))。しかも、本件事故現場の歩道は自転車通行可とはなっていませんでした。ですから、歩行者の過失が否定されたのは相当と考えられます。また、後遺障害については、本件では自転車が相手の交通事故なので自賠責の認定がなく、症状について裁判所の判断で後遺障害の有無が認定されることになりました。14級の場合に5年程度に労働能力喪失期間が制限されるのは、症状が「しびれ」であることからするとやむを得ないと考えられます。

<争点>

・過失相殺(自転車VS歩行者)

・後遺障害

投稿者: 小島法律事務所

2015.06.02更新

横断歩道上の自転車同士の追い抜き事故について、①先行自転車の運転者Xが80歳であったこと、②後行自転車が強引に抜き去ったことなどから過失割合を50:50としました。また、Xの休業損害については、賃金センサス女子70歳以上の7割未満の日額5700円を基礎にして入院期間について休業損害を認めています(大阪地方裁判所平成25年6月18日判決・自動車保険ジャーナル140頁)。

<弁護士のコメント>

・過失割合:別冊判例タイムズ38号には自転車同士のものが掲載されていません。もっとも、本件は先行車がかなり特殊な走行をしていることから、汎用性がある裁判例とは考えられず、過失割合については事例判断としての意味しか持たないと考えられます。

・高齢女子の家事従事者の休業損害:高齢女子の場合、休業損害の算定にあたっては、本件のように賃金センサスを一部修正するのが一般的です。もっとも、どのような家事労働を行っているかは、年齢によって一義的に決することができるものではありませんから、結局、実態に即した判断となります。

・人身傷害先行払いの場合の過失相殺:人身傷害保険とは、自分が契約している保険会社に対して人身損害に関する補償を求めるものです。人身傷害保険が賠償に先行して支払われた場合(人傷先行払い)のときに過失相殺をどのように判断するかについては、かつては諸説ありましたが、現在は裁判基準差額説が通説です。本件でもいわゆる裁判基準差額説を採用したものと考えられます。

<争点>

・過失割合

・休業損害(高齢女子)

・裁判基準差額説

投稿者: 小島法律事務所

2015.06.01更新

商店街道路におい原告歩行者の左肩と対向被告普通貨物車のサイドミラーが衝突した事故について、事故と傷害結果との相当因果関係を認めるとともに、整骨院の施術費については一部減額して認めました(大阪地方裁判所平成25年9月19日判決・自動車保険ジャーナル1911号129頁)。

<弁護士のコメント>

この裁判例では、①被害者が歩行者であること、②加害車両が貨物自動車であること、③衝撃は軽微とはいえないこと、④医師の診断等を根拠に、相当因果関係が認められています。一般的に、車両のサイドミラーが接触したことで後遺障害が残存するほどの傷害が発生するかというと疑問ですが、本件は上記事情から相当因果関係が肯定されたものです。

また、整骨院の施術費については、医師の指示がない場合であっても、その内容からして一部の相当性を認めています。

さらに、休業損害については、症状固定時に労働能力喪失率が14%であることを根拠に「相当程度の労働能力の回復」を認めていますが、これは珍しい理由づけだと思います。

<争点>

・相当因果関係

・整骨院の施術費

・休業損害

投稿者: 小島法律事務所

2015.05.29更新

初度登録23年10月の原告車両について同年12月28日発生事故時(走行距離2204キロメートル)の全損時価額を新車販売価格とほぼ同額としました。また、買い替え諸費用としては、検査登録代行費用(半額)、車庫証明手続代行費用(半額)、納車費用(半額)、法定費用(登録手続費用及び車庫証明手続費用)を認めました。代車使用期間としては、全損通知を保険会社から受けたのが事故からほぼ1ヶ月後であることなどから50日を認めました。

<弁護士のコメント>

本件は、買い替え諸費用について、詳細な認定をしています。買い替え諸費用は、車両が全損(時価額を修理費用が上回る場合)に、時価額に加えて損害として認められます。つまり、車を買うときには、値札通りの金額では購入できず、実際にはいろいろな費用をディーラーに支払うことが避けられません。そこで、そのような現実に即して、買い替え諸費用についても被害者の損害として認められているのです。買い替え諸費用の一部が半額になっているのは「当該費用が手続を代行した業者に対する報酬である」ことが理由です。本件では全損にしては長めの代車使用期間が認定されていますが、修理費用と時価額が近かったことや全損通知が遅れたことから50日とされたものと考えられます。全損の場合は、買い替え期間相当の代車使用期間が認定されるのが原則で、通常は1か月程度になります。

<争点>

・全損時価額

・買い替え諸費用

・代車使用期間

・右直事故の過失割合

投稿者: 小島法律事務所

2015.05.28更新

追突され自賠責14級後遺障害を残す男子公務員の原告の後遺障害逸失利益について、「現実には、本件事故も給料面で格別不利益な取扱いを受けていない」として後遺障害逸失利益を認めませんでした。もっとも、後遺障害が残存しつつ通常業務をこなしている点については後遺障害逸失利益で斟酌されました(通常110万円のところ150万円)(京都地方債裁判所平成25年7月25日判決・自動車保険ジャーナル1911号112頁)。

<弁護士のコメント>

本件は被害者が公務員であり、休業損害も発生していない事案でした。被害者が公務員の場合、同様の問題が発生することと思われます。この点、最高裁判所昭和42年11月10日判決(民集21・9・2352)では「損害賠償制度は、被害者に生じた現実の損害を填補することを目的とするものであるから、労働能力の喪失・減退にもかかわらず損害が発生しなかった場合には、それを理由とする賠償請求ができないことをいうまでもない」としていますから、減収がない場合には原則として後遺障害逸失利益が認められないことになります。被害者としては、口頭弁論終結時において減収が一切ないにもかかわらず、逸失利益を請求するのであれば、将来的に減収の可能性があることを主張・立証することになります。本件のように、後遺障害逸失利益が何らかの理由によって否定される場合は、後遺障害慰謝料で斟酌されることがあります。つまり、後遺障害逸失利益としては認められないけれど、別のところ(後遺障害慰謝料)でフォローしますといった判断になります。

<争点>

・後遺障害逸失利益

・後遺障害慰謝料

投稿者: 小島法律事務所

2015.05.27更新

原告の高次脳機能障害の主張(自賠責認定なし)について、交通事故から約5年が経過した後の診断であること、外傷性脳損傷を裏付けるような画像所見が全くないこと、本件事故直後には意識障害もなかったことから、本件事故後約5年が経過して実施された神経学的諸検査の結果を検討するまでもなく、高次脳機能障害を認めた医師の診断は十分な医学的根拠があるものとはいえず、到底信用できるものではないとして、高次脳機能障害の発生を否定しました(東京地方裁判所平成25年9月10日判決・自動車保険ジャーナル1911号104頁)。

<弁護士のコメント>

本件は事故から長期間経過後に発症したとされる高次脳機能障害の事案であり、高次脳機能障害が争われる典型例です。外傷性の脳損傷による高次脳機能障害の場合、意識障害の有無、画像所見の有無が裁判所では大きな比重をもっています。本件でも同様の視点によって判断がされています。本件でも明らかなように、事故から長期間が経過した場合には高次脳機能障害の認定は厳しいものとなります。本件では、医師の判断についても裁判所が「信用性なし」としています。つまり、医師の意見書があっても、それだけでは高次脳機能障害が認定されるものではないということになります。

<争点>

・高次脳機能障害

・因果関係

・素因減額

投稿者: 小島法律事務所

2015.05.27更新

54歳男子会社役員の原告が、左踵骨骨折から躁うつ病に罹患したとの事案について、証拠上、は原告に精神疾患の既往があった様子は見受けられないこと、身体疾患の経過中に抑うつ状態を来たすことはあり得ること、原告の本件事故による受傷の入院治療は相当長期に及んだこと、原告が本件事故で受傷することがなくとも躁うつ病を発症したであろうことを窺わせる事情は見受けられないこと、大学病院の医師も本件事故を契機として発症したと診断していることを理由に、原告の躁うつ病と事故との相当因果関係を肯定しました(大阪地方裁判所平成25年6月28日判決・自動車保険ジャーナル1911号91頁)。

<弁護士のコメント>

踵の骨を骨折したことが躁うつ病につながるかどうかは難しい判断になります。本件でも「一般に、左踵骨骨折等の外傷を負ったからといって、抑うつ状態や躁うつ状態になるのが通常ではない」としつつ、上記事情を考慮して、本件交通事故と傷害結果との相当因果関係を肯定しました。もっとも、素因減額を行うことでバランスをとっているものと考えられます。本件のように、交通事故によって精神疾患が発生したという主張はよくあるのですが、相当因果関係の存否の判断は非常に困難です。ただ、実際上、精神疾患の場合、治療の頻度が少ないことが一般ですから、加害者側保険会社が柔軟に対応することで解決している事案もあるのではないかと考えられます。仮に、精神疾患と交通事故の因果関係の有無について、毎回保険会社が厳密に判断することになれば、結局のところ、因果関係不明という判断にしかならざるを得ないのではないでしょうか。

<争点>

・事故と躁うつ病との因果関係

・素因減額

・会社役員の消極損害

投稿者: 小島法律事務所

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