2019.11.22更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「無自賠と政府保証事業」についての解説です。

 自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは、原則すべての自動車(原付含む)の所有者に法律により加入が義務付けられている対人の損害保険です(自動車損害賠償保障法(以下、「自賠法」といいます)5条)。自賠責保険に加入していない(無自賠)車両での運転は、懲役も含めた刑罰を受けます(自賠法86条の3第1号)。通常は、車検の際に車検の年数分を併せて加入ケースが多いと思います。

 そして、すべての自動車が自賠責保険に加入していることによって、自動車事故による被害者は、その人身損害について、一定の金額を加害自動車側が加入する自賠責保険から回収できるようになっています。

 ただし、この自賠責保険は、加害者側が被害側に賠償することを目的としていますから、ひき逃げで加害者不詳の場合などでは、自賠責保険を使用することはできないという事態になります。

 ですが、ひき逃げなどの場合に補償がされないとなると、被害者保護に欠けることは明らかです。そこで、加害者が不明の場合や(自賠法72条1項前段)、加害者が自賠責に未加入・有効期限徒過など(同項後段)で、無自賠の場合には、政府保障事業として、自賠責に代わって、国が被害者に対して補償を行います(自賠法71条以下)。

 補償される範囲は基本的には自賠責と同じです。被害者側の過失に関しても、以前は自賠責よりも厳しい判断がされていましたが、現在の事故では自賠責と同様の保障がされます。

 ただし、加害者からの請求(いわゆる加害者請求)は認められない点や、国が支払った分の求償権を取得する等、自賠責との違いもあります。

投稿者: 小島法律事務所

2019.11.15更新

 飯塚市の小島法律事務所から、弁護士による「高速道路上での一時停止と追突の過失割合」について解説します。

 最近、茨城の常磐自動車道の事件や、神奈川の東名高速道での4人死傷の事件など、あおり運転によって高速道路上で被害車両を停車させるような危険な事件が後を絶ちません。東名高速道での事件は、後続車が停止していた被害車両に追突し、被害車両の運転者らが死傷するという重大な結果が生じています。

 では、高速道路上に停車している車両に追突した場合、追突車両と被追突車両の民事上の過失割合はどうなるのでしょうか。

 まず、道路交通法によると「危険を防止するためにやむを得ない場合を除き」急ブレーキが禁止され(法24条)、さらに高速道路上では、「危険を防止するために一時停止する場合のほか」駐停車が禁止されています(法75条の8第1項本文)。

 この点から、高速道路上での駐停車中の車両に追突する事故が発生した場合、被追突車両にその駐停車について落度がある場合(例えば、単独事故やガス欠など)、過失割合は、被追突車両:追突車両=40:60が基本となると考えられています(赤い本上巻(基準編)2019年版・370頁 図高〔10〕基本①)

一方で、前述のようにあおり運転の結果、自車の前方に車両が割り込み、停車させられた結果追突事故が発生したような場合では、被追突車両の駐停車は「危険を防止するために一時停止する場合」に該当するものといえますから、過失割合は被追突車両:追突車両=0:100になる可能性が高いと考えられます(同 基本⑨)。 

ただし、冒頭の東名高速道での事件は、あおり運転を行った車両と追突した車両は別の車両です。追突した車両の前方不注意が前提にあるとしても、あおり運転を行った運転者は、民事上の責任は負わないのでしょうか。

 この点については、追突事故が発生したそもそもの原因は、あおり運転によって高速道路上に車両を駐停車させたことであると考えられますから、その行為自体が事故を誘発した不法行為であると考え、その責任を追及することが考えられます。あるいは、追突した車両と共同して事故を生じさせたとして、両車両が共同して行った共同不法行為に該当すると考えることも可能でしょう。 

 このように、あおり運転を行った車両が直接追突していない場合でも、その民事上の責任を追及することはできます。ただし、以上はあくまでもいちおうの目安ですから、状況によってさまざまな結論に至る可能性があります。

投稿者: 小島法律事務所

2019.11.08更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「八木山バイパス4車線化」についての解説です。

 飯塚市周辺にお住まいの方には特になじみ深い「八木山バイパス」が、4車線化される計画が始動しています。

 八木山バイパスは、福岡市から京都郡苅田町までを通る国道201号線間にある、八木山峠を迂回するバイパス道路です。この八木山バイパスは、1日当たり2万台以上が通行する飯塚市と篠栗・博多方面を結ぶ重要な道路です。 

 この八木山バイパスは、開通当時から有料でしたが、2014年に通行が無料化されています。しかし、無料移行後には、交通量が倍増しているようです。 

 八木山バイパスは、2車線(片側1車線)の道路であるために、交通渋滞や、事故・工事の際に通行止めにせざるをえないという難点が指摘されていました。その後の無料化による交通量の増加によって、さらにこの難点が顕在化することとなりました。そこで、篠栗・筑穂間の5.6kmと筑穂・穂波東間7.7kmの各区間を4車線化する計画が決定されました。事業費は約360億円です。

 国土交通省によると、その工事により、通過時間が従来の約24分から約13分に短縮され、中央分離帯がなかったために発生していた正面衝突の事案も無くなり、さらに地域経済の活性化にもつながる効果を生じるとのことです。 

 工事は来年4月にも開始される予定で、篠栗・筑穂区間が2024年度、筑穂・穂波東区間が2029年度にそれぞれ開通する予定です。そして、これに伴って再び八木山バイパスが有料化されることも決まりました(普通車で250円+税と、以前の有料時代に比べて約半額になる予定です)。 

 ちなみに、道路工事の計画から皆さんの利用が開始(「供用開始」といいます)されるまで、さまざまな法令(都市計画法、環境影響評価法、道路法、土地収用法など)に基づく手続きを経る必要があります。 

 簡単な流れを説明すると、①道路状況の調査②道路網整備計画③概要計画の決定④環境影響評価(環境アセスメント)実施⑤都市計画決定⑥測量・設計⑦用地買収⑧工事⑨供用開始といったものです。

 ⑦と⑧は順次同時進行で行われていくこともありますし、事業地予定地が①の段階ですでに地方公共団体の所有地であるケースもあります。

 令和元年9月現在、この八木山バイパス4車線化は、③から④の段階にあるようです。

投稿者: 小島法律事務所

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