2020.10.22更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「ノンアルコールビールと飲酒運転について」の解説です。 

 飲酒運転とは、道路交通法上酒気帯び運転(65条1項)や酒酔運転(117条の2第1号)のことを指す言葉で、アルコールが体内に残っている(保有している)状態で運転することをいいます。

 ちなみに、ウイスキー入りのチョコレートや奈良漬けなど、アルコールが含有している食品を摂取してアルコールを保有した状態で運転しても、飲酒運転に分類されます。

 ノンアルコールビールに代表されるノンアルコール飲料とは、アルコールテイストではあるものの、法的にはアルコール飲料(酒類)に該当しない飲料のことをいいます。ですので、甘酒などと同じく、20歳未満でも飲むことができます。 

 そして、アルコール飲料とは、アルコール含有量が1%以上の飲料のことです(酒税法2条1項)。つまり、ノンアルコール飲料とはアルコール含有量が1%未満の飲料のことですから、アルコールの含有量が0%とは限らないということになります。

 実際にノンアルコール飲料で検索してみると、アルコールの含有量が0%でないものも散見されます(もっとも、昨今の飲酒運転の厳罰化もあってか、アルコール含有量0%のノンアルコール飲料も多くみられます)。

 ノンアルコール飲料だから大丈夫、と油断して飲んでしまうと、飲酒運転で摘発されてしまう可能性もあります。ですので、自動車の運転者はもちろん、未成年者、アルコールの影響を受けやすい人などは、ノンアルコール飲料との記載があっても、その飲料のアルコール含有量に注意して飲む必要があるといえるでしょう。

投稿者: 小島法律事務所

2020.10.08更新

  飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「あおり運転行為者による損害賠償請求」についての解説です。

 昨今、皆さんご存じのとおり、あおり運転が社会問題になっており、あおり運転に対する罰則の法制化もされ、広く議論がされています。

 今回は、あおり運転によって発生した交通事故について、民事訴訟で争いとなった興味深いケースをご紹介します。

 それは、名古屋地裁平成28年1月22日判決(交民49巻1号72頁)です。結論だけ先に紹介すると、あおり運転を行った者による損害賠償請求は、認められないという判断が下されました。

 この事件は、片側3車線道路を普通貨物自動車Y(以下、「Y」とします)が走行していたところ、後続を走行していた普通貨物自動車X(以下、「X」とします)がYの後ろに付き、左右に蛇行したり、前照灯をハイビームに上げ下げするなどしてあおり運転を行ったので、Yが別の車線へと退避すると、Xも車線変更してYを追い抜き、そのままYの前方へと割り込み、急ブレーキをかけ、これによりYがXに追突したというものです。あおり行為を行っていたXは、この事故による損害をYに請求して裁判になりました。

 この点、車と車の追突事故においては、追突した車両側の過失が大きいとされるのが一般的です。その一般論からすると、今回のケースではYがXに追突する形となっていますから、Yに不利な判断がされることも予想されます。

 しかしながら裁判所は、Yの過失も否定しがたいものの、本件の事故の発生は、XがYの前に割り込んだり急ブレーキをかけたりして、故意に誘発されたものであり、その事故結果もXが予測しえた範囲内であるから、「本件事故について、故意に道路交通法違反の運転等をした原告(X)が、被告(Y)の道路交通法違反の過失責任を問うことは、信義則上、許されない」として、Xの損害賠償請求を否定しました。 

 この判決については、あおり運転が事故発生の主要な原因である以上、その責任を負うべきはあおり運転を行った運転者であることからすれば、妥当なものであるといえます。

 また、本件の裁判所の認定によれば、追突したY側にも一定の過失があるとされているので、そのままではXの請求が一部は認められてしまう可能性があるところ、裁判所が信義則(民法1条3項)という法の一般原則を認めることで妥当な解決を図った点は特殊だといえます。

投稿者: 小島法律事務所

2020.10.01更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「停止距離」についての解説です。

 停止距離とは、空走距離と制動距離を合わせた距離であり、ドライバーが危険を感じてから車両が停止するまでの距離です。

 空走距離とは、ドライバーが危険を感じてからブレーキが効き始めるまでの距離のことです。
 制度距離とは、ブレーキが効き始めてから車両が停止するまでの距離のことです。

 停止距離の計算式は、難解ですが、以下の計算式で導き出すこと可能とされています。

  S = VT0 + Vの2乗/2μg
   T  = T0 + V/μg

S=停止距離(m)

T=停止時間(sec)

T0=空走時間(sec)
 一般的に、空走時間は0.8ないし1.0(秒)の範囲が望ましいとされています。
 なお、空走時間は高齢者になるほど長くなり、また、飲酒運転者も酩酊状態がすすむほど空走時間が長くなります。

V=制動前の速度(m/s)

μ=制動時の摩擦係数
 一般的に、摩擦係数は、乾燥路面では0.7とし、湿潤路面では0.4とされています。

g=重力加速度=9.8(m/s2)

参照書籍『捜査官のための交通事故解析【第3版】』41~87頁

投稿者: 小島法律事務所

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