2021.07.28更新

 飯塚市の小島法律事務所より、当事務所のお盆休みのお知らせです。

 誠に勝手ながら、2021年(令和3年)8月13日(金)~8月15日(日)の間、当事務所はお盆休みとさせていただきます。

 ご迷惑をおかけいたしますが何卒よろしくお願いいたします。

小島法律事務所

弁護士 小島邦夫

投稿者: 小島法律事務所

2021.07.21更新

 今回は、飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「後遺障害③ ~併合の基本ルールの例外~」についての解説です。

 後遺障害の認定内容については、自賠責保険会社が計算した提示を受けとることになりますので、本人や弁護士が後遺障害における併合の計算を行うことはほとんどありませんが、併合については、以下のルールの修正が存在します。

 

【障害の序列を乱す場合】

 前回の説明のとおり、系列の異なる複数の後遺障害が存在する場合、併合により後遺障害等級が繰り上げられることになります。
しかし、併合して等級が繰り上げられた結果、障害の序列を乱すことになる場合があります。この場合、併合の基本ルールのとおりに、後遺障害等級は繰り上げられません。
 例えば、右上肢を肘関節以上で失った障害と左上肢を手関節以上で失った場合があります。
 この場合、右上肢の障害は後遺障害等級4級4号に該当し、左上肢の障害は後遺障害等級5級4号に該当しますので、併合の基本ルールに単純に従うと併合1級となります。
 この点、後遺障害等級1級における両上肢に関わる障害は、後遺障害等級1級3号の「両上肢をひじ関節以上で失ったもの」になりますが、例における左上肢の障害は手関節以上で失ったものであり、障害等級1級3号の状態に達しません。
 そのため、この場合の等級は併合2級とします。
 この様に、併合の基本ルールに従うことで障害の序列を乱す場合には、併合のルールが修正されることになります。

 

【組合せ等級】

 系列を異にする後遺障害が複数存在する場合、併合の基本ルールに従えば、障害等級が繰り上がりそうですが、後遺障害等級上、特定の後遺障害の組合せについては、等級が定められています。
 そのため、後遺障害等級表に組合せが定められている場合には、定められた後遺障害等級に該当することになります。
 例えば、右下肢を膝関節以上で失い(4級5号)、左下肢もひざ関節以上で失った(4級5号)場合では、併合1級ではなく、両下肢をひざ関節以上で失ったものとして、後遺障害等級1級5号に該当します。

 

【1つの障害に複数の評価が存在する場合】

 複数の後遺障害が存在する場合でも、1つの障害が観察方法によって、2つ以上の後遺障害等級に該当すると考えられる場合があります。
 この場合は、上位等級に該当することになります。
 例えば、右大腿骨に変形を残した(12級8号)結果、右大腿骨を1㎝短縮した(13級8号)場合では、併合11級とはならず、上位等級である後遺障害等級12級8号に該当することになります。

 

【1つの障害の他の障害が通常は派生する関係にあるとき】

 複数の後遺障害が存在する場合でも、1つの後遺障害が他の後遺障害の通常派生する障害にあたる関係にあるときは、併合はせず、上位等級に該当することになります。
 例えば、1上肢に偽関節を残す(8級8号)とともに、そこに頑固な神経症状を残した(12級13号)場合には、併合7級とはならず、上位等級である後遺障害等級8級8号に該当することになります。

投稿者: 小島法律事務所

2021.07.07更新

 今回は、飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「後遺障害② ~併合の基本ルール~」についての解説です。

 前回、自賠責保険が、後遺症を、(1)体の部位を10種類に分け、(2)各部位の障害を生理学的観点からさらに分類し、35グループの系列に分けていることを説明しました。

 さらに、自賠責保険は、後遺症が発現している部位や機能障害の程度に応じて基準を設けて、この35グループを要介護の場合は1級から2級(これを「自動車損害賠償保障法施行令別表Ⅰ」といいます。)、介護不要の場合は1級から14級(これを「自動車損害賠償保障法施行令別表Ⅱ」といいます。)に分けています。そして、自賠責保険は、この等級に該当するものを後遺障害として認めています。
 なお、この等級は、1級が最も障害が重く、等級が下がるに連れて障害が軽くなります。
 交通事故によって生じた後遺症については、この基準に従って、損害賠償請求を行うことが多いです。
※参照:後遺障害等級表 国土交通省


【併合の基本ルール】
 幸いにも、後遺障害が1つの場合には、等級通りに従って損害賠償請求を行うことになります。不幸にも、後遺障害が複数存在する場合には、以下のルールに従って、後遺障害についての損害賠償請求を行うことになります。
 この複数の障害を1つの障害として評価することを「併合」といいます。

 複数の後遺障害がある場合には、基本的には、最上位の等級と次順位の等級に応じて、以下のように最上位の等級が繰り上げされます。

①最上位の等級と次順位の等級が1~5級の場合
 この場合、重い等級に3級が加算されます。
②最上位の等級が1~5等級で次順位の等級が6~8等級の場合
 この場合、重い等級に2級が加算されます。
③最上位の等級が1~5等級で次順位の等級が9~13等級の場合
 この場合、重い等級に1級が加算されます。
④最上位の等級が1~5等級で次順位の等級が14等級の場合
 この場合、重い等級になります。
⑤最上位の等級が6~8等級で次順位の等級が6~8等級の場合
 この場合、重い等級に2級が加算されます。
⑥最上位の等級が6~8等級で次順位の等級が9~13等級の場合
 この場合、重い等級に1級が加算されます。
⑦最上位の等級が6~8等級で次順位の等級が14等級の場合
 この場合、重い等級になります。
⑧最上位の等級が9~13等級で次順位の等級が9~13等級の場合
 この場合、重い等級に1級が加算されます。
⑨最上位の等級が9~13等級で次順位の等級が14等級の場合
 この場合、重い等級になります。
⑩最上位の等級と次順位の等級が14等級の場合
 この場合、14級になります。

 しかしながら、障害も様々であり、左右対称部位の左右双方の障害の場合はどうなるのか、同系列に障害が生じた場合にはどうなるのか等、特殊なケースについては、別途ルールが存在します。


 次回は、併合の特殊なルールについてご説明いたします。

投稿者: 小島法律事務所

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