2023.06.23更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「高速道路とガス欠」についての解説です。

 お盆等の大型連休になると、観光地に向かうため、高速道路を利用することが多いと思います。
 高速道路を走行し始めると、ガソリンスタンドが併設してあるSA・PAを利用しない限り、走行の途中で給油することができません。
 では、高速道路の走行を開始し、その走行の途中で、ガス欠になった場合、道路交通法違反になるでしょうか。
 結論から申し上げますと、高速道路を走行している途中で、ガス欠になった場合、以下のとおり、道路交通法75条の10違反として、「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」または「10万円以下の罰金」に処罰を受ける可能性(道路交通交通法119条1項19号、3項)があります。

第75条の10
「自動車の運転者は、高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、あらかじめ、燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量又は貨物の積載の状態を点検し、必要がある場合においては、高速自動車国道等において燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量の不足のため当該自動車を運転することができなくなること又は積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない。」

第119条
「次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 …
十九 第七十五条の十(自動車の運転者の遵守事項)の規定に違反し、本線車道等において当該自動車を運転することができなくなつた者又は当該自動車に積載している物を当該高速自動車国道等に転落させ、若しくは飛散させた者
2 …
3 過失により第一項第二号、第五号(第四十三条後段に係る部分を除く。)、第十四号、第十六号若しくは第十九号又は前項第二号の罪を犯した者は、十万円以下の罰金に処する。」

 この点、同条の「点検」とは、日常点検整備(道路運送車両法第47条の2)でよいとされています。そのため、大型連休中の高速道路利用に付きものである予想外の渋滞等でガス欠になった場合には、同条の道路交通法違反にはならないとされています。
 もっとも、高速道路を走行する前に、ガソリンの残量が気になっていたにもかかわらず、高速道路の走行を開始し、その走行の途中で、ガス欠になった場合には、日常整備の時点で、高速道路利用中にガス欠になることが予想できることから、同条違反を問われる可能性があります。

投稿者: 小島法律事務所

2023.06.09更新

 先日、国道200号線を利用して、飯塚市方面から福岡市方面へ、車を運転していた際、渋滞回避のために路側帯を走行するバイクを見かけることがありました。
 また、飯塚市内等の街中でも、キープレフトを遵守して走行している車や右折待ちの車を追い抜くために、路側帯を走行するバイクもよく見かけます。
 このバイクの路側帯に進入する走行態様が、道路交通法に違反しないのか、ご説明します。

 結論から申し上げますと、バイクの路側帯走行は、道路交通法違反となります。

 道路交通法上、路側帯とは、「歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によつて区画されたものをいう。」と、定義されています(道路交通法2条3号の4)。
 すなわち、路側帯は、歩道がない道路において、歩行者の通行のためや車道の効用を保つために設けられた道路部分であり、バイクを含む車両が通行することを目的としたものではありません。

 そして、道路交通法上、バイクを含む車両の通行については、「車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。」と規定しています(道路交通法17条1項)。
 したがって、バイクが路側帯を走行した場合には、道路交通法に違反した行為となります。

なお、道路交通法17条に違反した場合、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金の処罰を受ける可能性があります(道路交通法119条1項6号)。

投稿者: 小島法律事務所

2023.05.19更新

 今回は、飯塚市の弁護士が、「電動キックボード」について、ご説明します。

 これまで、電動キックボードは、道路交通法上は、「原動機付自転車」または「自動二輪車」に分類されていました。また、国の認可を受けた事業者が、運転免許がある人に有料で貸し出す公道での実証実験を行っているものについては「小型特殊自動車」として扱われていました。

 そして、これまでの規制は以下のとおりでした。

【原動機付自転車の場合】
1 免許:必要
2 ヘルメット:着用は義務
3 最高速度:時速30km
4 走行場所:車道のみ
5 年齢制限:免許に準ずる

【小型特殊自動車】
1 免許:必要
2 ヘルメット:着用は任意
3 最高速度:時速15km
4 走行場所:車道、自転車専用道路
5 年齢制限:免許に準ずる

 令和5年7月1日に施行される改正道路交通法では、電動キックボードのうち、一定の基準を満たしたものを「特定小型原動機付自転車」として分類し、自転車と同様の規制が適用されます。
 そのため、令和5年7月1日以降は、使用する電動キックボードの区分によって、適用される規則が異なります。
 なお、一定の基準とは、原付自転車のうち電動で定格出力が0.6kW以下、長さ190㎝、幅60㎝、以下かつ最高速度時速20km以下のもので、特定小型原付自転車に分類されます。

【特定小型原動機付自転車】
1 免許:不要
2 ヘルメット:着用は努力義務
3 最高速度:時速20km
4 走行場所:車道、路側帯、自転車専用道路、条件付きで歩道
5 年齢制限:16歳以上

投稿者: 小島法律事務所

2023.04.28更新

 道路交通法(以下、「道交法」といいます。)の改正により、令和5年4月から自転車利用時のヘルメットの着用が努力義務化されます。
 今回は、この義務化にあわせて、自転車の利用における主要なルールについてご説明いたします。

1 車道走行の義務
 自転車は、道交法上、「軽車両」に位置付けられます(道交法2条11号イ)。そのため、車道と歩道とが区別されている場所では、原則として車道を通行しなければなりません(道交法17条1項)。
 また、車道を通行する際には、道路の左側を通行しなければなりません(道交法17条4項)。
 したがって、自転車で道路の右側を通行した場合、逆走となりますので、道交法違反となります。
 なお、道路標識によって、自転車が歩道を走行することが可能な場合には、左側通行の義務はありません。

2 信号機の遵守、交差点における一時停止義務及び安全確認義務
 自転車が道路を通行する場合、道路用の信号機に従わなければなりません(道交法7条)。
 また、信号機による交通整理が行われていない交差点では、交差点の手前で一時停止及び安全確認する義務を負っています(道交法43条、36条4項)

3 夜間のライト点灯義務
 夜間(日没時から日出時まで)に自転車で道路を通行する場合、自転車のライトを点灯させなければなりません(道交法52条1項)。

4 飲酒運転の禁止
 飲酒した状態での自転車運転は、自動車を運転している場合と同様に禁止されています(道交法65条)

 なお、以上のルールは、自転車運転における主要ルールですので、この他にも、道交法上、自転車運転において様々なルールがあります。

投稿者: 小島法律事務所

2023.04.14更新

 飯塚市の小島法律事務所より、ゴールデンウィーク期間の休業についてのお知らせです。

 誠に勝手ながら、弊所は令和5年4月29日(土曜日)から5月7日(日曜日)までの期間を、ゴールデンウィーク休業といたします。

 ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

 弁護士 小島邦夫

 

投稿者: 小島法律事務所

2023.03.31更新

 未だに、高齢運転者によるブレーキ・アクセルペダルの踏み間違え等による交通事故が絶えない昨今。
今回は、飯塚市の弁護士が、道路交通法における高齢運転者対策として新設された「運転技能検査(実車試験)制度」について、ご説明します。

 高齢運転者による交通事故を踏まえて、高齢運転者対策の充実・強化を図るため、運転技能検査(実車試験)制度が導入された改正道路交通法(以下、「道交法」といいます。)が、令和4年5月13日に施行されています。
 運転技能検査(実車試験)制度の内容については、以下のとおりです。

 更新期間満了日における年齢が75歳以上(令和4年10月12日以後に75歳以上の誕生日を迎える方からが対象)で、免許証の有効期間満了日の直前の誕生日の160日前の日の前3年間に「一定の違反歴」のある人は、運転免許更新時に、運転技能検査等を受検することが義務化されました(道交法101条の4第3項)。

 なお、「一定の違反歴」とは、次の違反行為です。
①信号無視、②通行区分違反、③通行帯違反等、④速度超過、⑤横断等禁止違反、⑥踏切不停止等・遮断踏切立入り、⑦交差点右左折方法違反等、⑧交差点安全進行義務違反等、⑨横断歩行者等妨害等、⑩安全運転義務違反、⑪携帯電話使用等

 また、運転技能検査は、主に以下の項目について検査が行われます(警視庁WEBページより)。
①指示速度による走行、②一時停止、③右・左折、④信号通過、⑤段差の乗り上げ、⑥その他

 そして、検査結果が一定の基準に達しない場合には、公安委員会の判断の下、運転免許証の更新されないこともあります(道交法101条の4第4項)。
なお、受検期間中(更新期間満了日前6か月以内)であれば、繰り返し受検することは可能です。

投稿者: 小島法律事務所

2023.03.15更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「あおり運転」についての解説です。

 平成29年に東名高速道路で発生した死亡事故等は、皆さまの記憶にも新しいものと思います。
 この死亡事故等を契機に「あおり運転」が社会問題化したことから、妨害運転、いわゆる「あおり運転」に対する罰則の新設(「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」・「道路交通法第117条の2の2第1項8号」)や、道路交通法(以下「道交法」といいます。)改正による免許取消処分の対象への追加が行われました。
 なお、妨害運転が免許取消処分の対象に追加された改正道交法は、令和2年6月30日に施行されています。

 妨害運転については、以下の2つの場合に罰則等の対象になっています。

1 妨害運転をした場合(道交法117条の2の2第1項8号)
 「他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者」
 この点、「いずれかに掲げる行為」とは、以下の違反行為です。
 ①通行区分違反②急ブレーキ禁止違反③車間距離の不保持④進路変更違反⑤追越し違反⑥車両等の灯火違反(減光等)⑦警音器の使用等違反⑧安全運転義務違反⑨最低速度違反(高速自動車国道)⑩高速自動車国道等における駐停車違反

 また、罰則・違反点数・行政処分は以下のとおりです。
(1)罰則:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
(2)違反点数:25点
(3)行政処分:免許取消し(欠格期間2年)

 なお、「いずれかに掲げる行為」は、その行為自体は道交法違反行為であることから、所定の処分が下されます。
 この点、当該道交法違反行為を行った際に、「他の車両等の通行を妨害する目的」を有していた場合には、上記の通り、より重い処分が下されます。

2 妨害運転により著しい交通の危険を生じさせた場合(道交法117条の2第1項4号)
 「次条第一項第八号の罪を犯し、よつて高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者」

 また、罰則・違反点数・行政処分は以下のとおりです。
(1)罰則:5年以下の懲役または100万円以下の罰金
(2)違反点数:35点
(3)行政処分:免許取消し(欠格期間3年)

投稿者: 小島法律事務所

2023.02.17更新

 昨今、あおり運転が世間の話題にあがっています。あおり運転としては、後方車両が車間距離を詰めたり、追越し後急停止を繰り返したりすることをイメージする方が多いと思います。それ以外にも、前方車両がノロノロと低速で走行し続けることがあります(いわゆる、逆あおり運転)。
 今回は、低速で道路を走行することに対する道路交通法上の規制についてご説明します。

 最低速度については、高速道路の速度制限を思い浮かべる方が多いと思います。
 高速道路における最低速度については、道路交通法上、以下の規制があります。
道路交通法74条の4
『自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、高速自動車国道の本線車道(政令で定めるものを除く。)においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあつてはその最低速度に、その他の区間にあつては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはならない。』
道路交通法施行令27条の3
『法第75条の4の政令で定める最低速度は、50キロメートル毎時とする。』
そのため、高速道路の本線車道での法定最低速度は、時速50kmです。

 他方で、一般道路においても、最低速度に関して、以下の規制が存在します。
道路交通法23条
『自動車は、道路標識等によりその最低速度が指定されている道路(第75条の4に規定する高速自動車国道の本線車道を除く。)においては、法令の規定により速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その最低速度に達しない速度で進行してはならない。』

 したがって、一般道路では法定最低速度の規定はありませんが、道路標識等で最低速度が指定されている場合、最低速度を下回る速度で走行することは道路交通法違反となります。
 なお、道路交通法上、一般道路での最低速度違反については、罰金や反則金は課されていません。

投稿者: 小島法律事務所

2023.02.03更新

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「自賠責保険料の引き下げについて」についての解説です。

 金融庁は、令和5年4月から、自動車や二輪車の所有者に加入が義務付けられている自賠責保険の保険料を全体で10%程度引き下げることを決定しました。

 保険料等の増減について、自賠責保険審査会では、自動ブレーキシステムなどの安全装置の普及により交通事故が減り、保険金の支払いも減少している背景を踏まえ、4月から平均11.4%の保険料の引き下げを決定しています。
 これにより、一般的な2年契約の自家用車で現状よりも2360円安くなります。

 他方で、令和5年4月から、自家用車1台あたり年間125円(引き上げ前:約32円)の賦課金が課せられます。
 なお、この賦課金は、ひき逃げなど加害者不明の場合に被害者救済のために使われるものです。

 上記のとおり、賦課金を除く保険料が引き下がられる一方で、賦課金が引き上げられるため、自賠責保険料全体では、全車種平均で、10%程度の値下げとなります。
なお、現在の自賠責保険料(沖縄県及び離島を除く)は、一般的な2年契約で乗用車が2万10円、軽自動車が1万9730円です。

投稿者: 小島法律事務所

2023.01.13更新

 今まで児童又は幼児を対象として、ヘルメットの着用を努力義務としていましたが、道路交通法の一部改正(令和4年4月27日公布、令和5年4月1日施行)により、全ての自転車利用者が対象となります。

(道路交通法第63条の11)
〇改正前
【児童又は幼児の保護する責任のある者の遵守事項】
「児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児を自転車に乗車させるときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。」

〇改正後
【自転車の運転者等の遵守事項】
「1 自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
2 自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
3 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。」

 この点、ヘルメットの着用義務は、努力義務であり、同義務違反に対しては、罰則はありません。
 もっとも、努力義務とはいえ、ヘルメットの着用義務が明文化されたことにより、交通事故を原因とした損害賠償請求の際に、ヘルメットの不使用は、過失相殺の対象となる可能性があります。

投稿者: 小島法律事務所

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